セーレン 車輌資材軸に事業拡大
2025年11月17日 (月曜日)
セーレンは、車輌資材事業を軸に成長を図る。2025年度(26年3月期)からの3年間で実施する総額300億円の成長投資のうち115億円を充て、ポリエステル製エアバッグの一貫生産体制構築や新合皮の開発・生産を進める。車輌資材事業をけん引役に30年度には成長分野の売上高を24年度比で2倍以上に増やす。
同社は、一貫生産エアバッグと次世代車種シート材、炭素繊維、人工衛星、半導体、エレクトロニクス素材、環境・メディカル、非繊維ビスコテックスを成長8分野に位置付ける。成長分野の合計売上高は24年度で721億円。これを30年度に1400億円に拡大する方針で、設定した計画通りに進んでいるとした。
車輌資材事業が全体をけん引するとし、その中でもエアバッグの拡大に注力する。エアバッグの基布はナイロン66が主流だが、「ポリエステルに移行すると予想され、それを追い風にする」。中国とタイで織布・加工・折り畳みの一貫生産体制を強化・構築する。
エアバッグ基布のポリエステルへの移行によって糸からの一貫体制生産も可能になる。中国とタイ拠点の強化に加えて、「他のアジア地域や南米などにもチャンスがある」とし、グローバルで拡大を図っていく。
シート材は、世界シェアはまだまだ低いとして拡大の余地があるとみる。欧州メーカーへの営業を強化するほか、合成皮革「クオーレ」では次世代タイプの商品の開発を進める。生産拠点も現在の日本、メキシコ、中国、ハンガリーなど以外の、他の国・地域での生産体制を整える。
ユニチカと日本エステルから継承する新会社は、「NBセーレン」とし、不織布や機能性差別化原糸でシナジーを追求する。不織布では建築資材向け透湿防水シートの一貫生産や車輌内装材向け合皮基布でのシナジーに期待。差別化原糸ではエアバッグ基布の開発などを進める。
社長にはセーレン元社長の結川孝一氏が就任する。川田達男会長は、結川氏の起用について「20年前にカネボウの繊維事業を買収した時に総責任者として動いてもらった。その経験を買った」と説明した。
各段階で過去最高
セーレンの25年4~9月期連結決算は、売上高809億円(前年同期比3・8%増)、営業利益102億円(24・8%増)、経常利益109億円(20・4%増)、純利益79億7200万円(18・8%増)だった(短信既報)。車輌資材やエレクトロニクスがけん引役となり、各段階で4~9月期として過去最高となった。
車輌資材事業は、売上高555億円(3・1%増)、営業利益80億9700万円(23・9%増)で増収増益。アジアを中心にカーシート材の受注が旺盛だったほか、品質改善や経費削減も奏功して売上高、営業利益ともに過去最高を記録した。
ハイファッション事業は、売上高105億円(4・7%増)、営業利益7億100万円(22・0%増)で増収増益を確保した。スポーツ・アウトドア向けの素材が好調に推移した。KBセーレンでの不採算見直しもあって、営業利益で過去最高を更新した。
通期の業績予想は、売上高1627億円(前期比1・9%増)、営業利益200億円(11・9%増)、経常利益212億円(10・0%増)、純利益152億円(9・4%増)。いずれも過去最高を更新する見通し。





