ごえんぼう

2025年11月18日 (火曜日)

 「頑張っていれば誰かが見てくれている」。テレビや小説でそんな言葉を聞く機会は少なくないが、実際には「誰も見てくれていない」と感じることも多いのでは▼昨年、ある産地の染色整理会社が廃業した。塩縮やシワ加工などを柱としてきたが、生産数量減に歯止めがかからず事業継続が難しくなった。会社は従業員が継承し、新たなスタートを切ったが、売り上げが伸びていると聞いた▼受託加工が中心で一定の顧客がいたため、前の会社の時は営業活動をほとんどしていなかったと言う。新会社になってから初めて合同展に出展し、「自分たちの技術や加工が特定の顧客にしか知られていない」と気付く▼展示会を通じて発信や営業を強化した。根底に頑張りや努力があるのは当然だが、一歩踏み出したことが顧客獲得につながった。自分が思う以上に「誰も見てくれていない」かもしれない。繊維企業はもっとアピールしても良い。