綿紡績大手4~9月期 苦戦が目立つ繊維
2025年11月18日 (火曜日)
綿紡績大手の4~9月期連結決算が出そろった。全体では半導体関連など非繊維分野が好調で、クラボウ以外は増収増益となった。繊維事業はシキボウが8期ぶりに営業黒字を確保した一方で、他社はコスト高や需要調整の影響が残り、苦戦が目立った。海外販売や高付加価値素材へのシフトによって下半期での巻き返しを狙う。
シキボウは、中間期として8期ぶりの営業黒字に転じた。中東民族衣装向け生地輸出と不採算事業の見直しが寄与し、繊維部門の利益改善が全体をけん引。ユニチカトレーディング(UTC)の衣料繊維事業譲受に弾みを付けた。海外を含む営業基盤も受け継ぎ、グローバルでの販売拡大を図る。
クラボウは、安城工場(愛知県安城市)閉鎖に伴う一時費用が響き、営業赤字となった。海外関係会社への生産移管は「おおむね計画通り進行」しており、収益力の底上げを進める。原綿改質による機能糸「ネイテック」などの高付加価値素材やユニフォーム関連は伸長し、増収を確保した。
富士紡ホールディングス(HD)では、インナー「BVD」など繊維製品の販売が、売り場の縮小や猛暑による来店客数の減少で苦戦した。ネット販売では日本製の品質が評価され、海外向け販売が拡大している。
日東紡は、子会社の日東紡アドバンテックスが大手アパレルの婦人向けで伸び悩んだが、そのほかの婦人・紳士向けがカバーした。
大和紡績では、猛暑や物価高騰の影響で製品・テキスタイルなどの一部分野が苦戦したが、収益は確保した。
日清紡HDの1~9月期は、シャツ事業で超形態安定加工やドレスシャツ素材の受注が減少し、赤字が拡大した。ユニフォーム事業は企業別注品の受注拡大で増収となり、赤字幅が縮小した。





