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東レとバイリーン/「協力関係は継続する」/65年の資本関係に終止符

2025年11月20日 (木曜日)

 東レと日本バイリーンの65年にわたる資本関係に終止符が打たれる。東レは15日、日本バイリーンの持ち分25%を独・フロインデベルグSEに約170億円で売却すると発表。株式売買契約は、フロイデンベルグSEの手続き完了後、12月15日に締結する予定で、クロージングは2026年2月を見込む。東レは26年3月期に売却益として約60億円(税引後)を計上する。

 持ち分売却は今年6月、フロイデンベルグSEから合弁契約に基づくコール・オプション行使による100%子会社化の申し入れがあり、東レが応じた。

 日本バイリーンは1960年、カール・フロイデンベルグ(現フロイデンベルグSE)、大日本インキ化学工業(現DIC)、東レなどの合弁により設立された。2010年にDICが保有株式を売却、15年末に上場を廃止し、16年にTOBによりフロイデンベルグSE75%、東レ25%の合弁会社になった。その際の契約にコール・オプションが設定されていた。

 日本バイリーンは東レの持ち分売却について「創業以来、株主として支えてもらったことに感謝している。今後も取引は継続するので、良い関係性を継続できると考えている」とコメント。一方、東レは「この65年間の協力関係は両社の技術力や事業の拡大に大きく寄与した。株主の立場ではなくなるが、培った信頼やパートナーシップは変わらず、両社のさらなる発展につながると確信している」とコメントした。

 東レにとって、日本バイリーンは設立当初からポリエステル短繊維などの重要顧客であると同時に、短繊維不織布事業の拡大を担う重要な取り組み先として協業を進めてきた。

 不織布だけでなく、日本バイリーンの主力であるカーマット事業でも産業資材事業部や、子会社の東レ・アムテックス(大阪府富田林市)と日本バイリーンの子会社である日本VIAM(滋賀県守山市)が取り組みを強化してきた。

 16年のTOB後、両社の連携はさらに強化される。「TOB後に取り組みは深化した。人材交流を始め、両社のシナジーによって新製品開発、新市場開拓を行った。その一つが耐熱不織布『ガルフェン』の共同開発になる」(東レ)と言う。日本バイリーンも「16年以前よりも製品開発、用途開拓などで連携が進み成果があった。連携は継続する」と話す。