東レ/PFASフリー撥水拡充へ/再生ポリに機能と快適性
2025年11月20日 (木曜日)
東レは、PFAS(有機フッ素化合物)フリー撥水(はっすい)生地のバリエーションを広げる。従来品の撥水性とパウダータッチを両立した「デューエイトPS」を開発し、27秋冬物から販売を始める。回収ペットボトル由来原料を約50%使用するなど、再生ポリエステルに機能と快適性を融合した。
PFASフリーの撥水生地では、特殊な凹凸構造を生地表面に形成し、優れた水滴除去性を発現する「デューエイト」を25春夏物で展開を開始した。「国内を中心に認知度が上がり、海外からも引き合いがある」(婦人・紳士衣料事業部)が、幅広いシーズンで使いたいという要望が寄せられる。
新商品のデューエイトPSはそうした声に応えて開発した。複合紡糸技術「ナノデザイン」を駆使し、10マイクロメートル以下の極細糸が何層にも重なったかさ高なループ状構造を生地表面に作る。これによって上質なパウダータッチと撥水機能を両立した。
ループ状構造は、連続した極細糸で構成しているため、起毛加工の課題だった洗濯時の質感変化や毛羽脱落がない。イージーケア性も兼ね備える。織物だけでなく、丸編み地などでの提案が可能で、婦人と紳士のアウターやボトムス用途などを想定している。
デューエイトPSは春・秋・冬シーズン物で訴求し、夏が中心のデューエイトと使い分ける。現状、「&+」(アンドプラス)として展開中の回収ペットボトル由来原料の使用比率は約50%だが、100%に高めたいとしている。2027年度20万メートル、30年度50万メートルの販売を目指す。
デューエイトシリーズは、ファッション生地展開のマーケティング&マーチャンダイジングコンセプト「PRIDEofGOUSEN」のリーディング素材と位置付け、新素材を順次投入する。
デューエイトPSは、今日20日まで東京都千代田区の神田明神ホールで開催中の展示会「TORAY BEYOND MATERIAL COLLECTION2027」で紹介している。
〈サウジの水処理膜工場稼働〉
東レは、サウジアラビアの子会社が海水淡水化用逆浸透(RO)膜の新工場を増設し、稼働を開始したと発表した。同国で海水淡水化用ROエレメント製品を製膜から組み立てまで一貫生産する企業は、東レが初めて。今後、中東と北アフリカ地域での水インフラに対するさらなる貢献を目指す。
同国ダンマンにあるToray Membrane Middle East(TMME)の工場が本格稼働した。研究・技術開発拠点の中東水処理技術センター(MEWTEC)も立ち上がり、省エネルギー型の水処理膜技術を適時に市場へ供給する体制が整った。
海水淡水化プラントは、従来の蒸発法から消費エネルギーが大幅に削減できる水処理膜法に移行している。持続可能な水資源確保の鍵を握るソリューションとして注目されており、期待が高まっている。





