モノ作りの未来発信「第59回東京ファッション産業機器展―FISMA TOKYO」レビュー〈後〉/生産支援の提案も活発に

2025年11月21日 (金曜日)

 FISMA TOKYOは、服作りの作業を直接担う機器以外にも、生産の精度と効率を高める機器やシステムが数多く出品される。

 東レACS(東京都港区)は、CADシステム「クレアコンポⅡ」とアパレル向けデータ管理システム「サイフォーム」を主力商材として展開する。両システムをバージョンアップしたタイミングでの出展となったため、最新版の機能をアピールした。

 サイフォームの最新のVer・11は、AI―OCR(光学文字認識)によって手書き、PDFなどの帳票を取り込めるようにした。人工知能(AI)翻訳の対象言語にベトナム語を追加した。

 AI活用に対する関心は高く、説明を聞きに来る人たちがブースに押し寄せていた。

 サンコウ電子研究所(本社川崎市)は、電子応用特殊機器、工業計器の研究開発や製造販売を行う。今展では、コンベア式検針機「APA―6900」シリーズなどを提案した。

 同機は、工場で発生するノイズの影響を大幅にカットする検知部を搭載し、誤作動の防止を図った。同シリーズの型式「W」は、二つの探知部を「ハ」の字形に配置した「ツインヘッド」を取り入れ、作業効率も向上させた。

 出展担当者は「踏み込んだ内容の商談もできた」と成果を語った。

 コンピューター多頭式刺しゅう機製造・販売のバルダン(愛知県一宮市)は、刺しゅう機の品ぞろえと共に、生産管理システム「B―NET」を紹介した。同システムは、刺しゅうデータの管理、編集、ミシンへの転送と接続ミシンの閲覧、集計、保守まで網羅して生産をサポートする。

 縫製に使う糸についても、積極的な周知がなされた。

 ミシン糸専門メーカーの大貫繊維(神奈川県愛川町)は、自社ブランド「エースクラウン」シリーズを中心とした豊富な品ぞろえを発信した。皮革縫製用の「タフエース」に注目が集まるなど、ミシン糸に対するニーズの多様化が感じ取れたと言う。

 刺しゅう糸専門メーカーの中村商事(京都市)は、光を反射する性質を持つ「反射糸」を新たに打ち出した。安全性や視認性を高める働きを生かし、作業着に加えて夜間のランニング用のウエアなどに向けても提案した。

(おわり)