特集 インテリア総合(8)/TOPIC/サンゲツ/サンコロナ小田/メッセフランクフルト
2025年11月21日 (金曜日)
〈サンゲツ/空間に音響演出で新価値を/音の出る生地をインテリアに〉
サンゲツは「音の出るファブリック」を活用し、空間デザインに音響演出を融合させた新たな空間価値を創出する。布状で柔軟性がある特徴を生かし、カーテンや椅子生地などインテリアファブリックへの導入を目指す。
次世代の空間を創造するための商品開発の一環として進める。このほど、自動車部品・化学品関連の商社、槌屋(名古屋市中区)と、そのグループの槌屋ティスコ(愛知県知立市)と商品化に向けた共同開発に着手した。
音の出るファブリックは特殊なフィルムと電極シートを布に組み込むことでスピーカーの役割を果たす。布全面にある無数の小さな発音体によって、特定の場所に片寄ることなく布全体から均一で臨場感のある音響空間を作る。
特に中高音域の再現に優れており、自然で心地良い音を空間全体に行き渡らせることができる。例えば、長尺の音の出るファブリックを設置し、その間を人が通り抜けることで、音が追随してくるようなインタラクティブな演出も可能だ。
布状スピーカーの基本となる技術は国立研究開発法人の産業技術総合研究所が開発した。槌屋と槌屋ティスコがライセンスを得て、サンゲツとの共同開発に至った。
〈サンコロナ小田/炭素繊維使いの椅子/デザイン国際賞受賞〉
糸加工とインテリア・ブライダル・アパレル向け生地販売のサンコロナ小田(大阪市中央区)が開発した炭素繊維使いの椅子「CALLU」(カル)がこのほど、デザイン界で評価の高いイタリアの「コンパッソ・ドーロ国際賞」を受賞した。
カルは同社独自の炭素繊維複合材料「フレックスカーボン」を活用した商品で、端材を出さない製法で作られ、軽量で強度が強く、再利用が可能。プロダクトデザイナーの喜多俊之氏が手掛けた。
〈メッセフランクフルト/来年1月に「ハイムテキスタイル」/AI軸に商機創出〉
家庭用・コントラクト用テキスタイルの国際見本市「ハイムテキスタイル2026」(メッセフランクフルト主催)が、来年1月13~16日にドイツのフランクフルトで開かれる。65カ国・地域から3100社超が出展し、最新の商材やソリューションを展示する。
テキスタイル&テキスタイルテクノロジー部門総責任者のオラフ・シュミット氏は、「世界が地政学的課題や経済的不透明に直面し、消費も落ち込む中、AI(人工知能)を軸に、新たなビジネスチャンスを提供する」と話した。
トレンドエリアでは「クラフトは動詞である」をコンセプトに、AIと伝統技術の融合を訴求。著名な建築家兼デザイナーのパトリシア・ウルキオラ氏による、AIを活用した未来のデザインを体感できるインスタレーションも行う。
新たな取り組みでは、ドイツマットレス産業協会と協力し、ベッドとマットレスのエリア「スリープ&ミート」を新設。スリープテックや環境配慮型商材など幅広く提案する。
同展のほか、「テクテキスタイル」「テックスプロセス」など繊維関連見本市を13カ国で60以上開催しており、いずれもエコノミーとエコロジーを融合した「エコノジー」、AIなどデジタル技術の活用で進化させている。「不透明な時代における信頼と安定のプラットフォームとして、変化をビジネス拡大につなげる」と強調した。





