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サステ協議会を設立 大阪から資源循環モデル構築

2025年11月26日 (水曜日)

 大阪府と民間企業による衣料品循環の取り組みが25日、「サステナブルファッション・プラットフォーム協議会」として正式に設立された。府内で使用済み衣類を回収し、選別・リユース・リサイクルまでを一体的に進める産官民連携の枠組みで、環境省が推進する「使用済衣類回収のシステム構築に関するモデル実証事業」として2024年から2年連続で採択されている。衣料品の地域共創型サーキュラーエコノミーの実現を目指す。

 24年度は、65拠点で約4・9㌧の衣類を回収し、選別や再利用を進めてきた。廃棄される衣類を減らし、繊維to繊維リサイクルを実現するサステイナブルファッションの推進に向け、今回の協議会設立に至った。

 30年度には、府内で焼却・埋め立てされる使用済み衣類を20年比8千㌧削減し、年間8千㌧以上を回収する目標と、国内でのリユースやリサイクルなどの循環利用を年間3500㌧処理する計画も掲げている。

 同協議会はエイチ・ツー・オーリテイリング、青山商事、JR西日本SC開発、ファイバーシーディーエムの4社が代表理事を務める。大阪府や堺市、藤井寺市、泉佐野市、吹田市などの自治体に加え、シキボウ、モリリン、住友大阪セメントなどが参画し、回収・選別・リユース・リサイクルまでをサプライチェーン全体で分担する産官民一体の体制を構築した。

 25日の共同記者会見で、エイチ・ツー・オーリテイリングの荒木直也社長は、「活動を持続するためには経済的な合理性が不可欠」と強調。高付加価値な取引で循環コストをカバーし、「再生繊維を会員企業に優先的に供給するビジネスモデルを目指す」と述べた。

 活動体制も明らかになった。青山商事は府内38店舗を回収拠点として提供し、「生活者との接点を担う」(遠藤泰三社長)。ファイバーシーディーエムは、大阪とインドの選別拠点を活用し、「年間8千㌧の回収目標にも対応可能」(泉谷康成会長)と説明した。

 シキボウは廃棄衣料を反毛して糸に戻すアップサイクルに加え、粉砕した綿素材を再利用したバイオマスプラスチックペレット事業も展開。中条洋子執行役員は「廃棄繊維の活用範囲を広げ、リサイクル技術と生産の両面で主体的な役割を担いたい」と意欲を示した。

 モリリンは廃棄衣料品を原料とするリサイクルボード「PANECO」(パネコ)を通じた取り組みを進める。森俊輔社長は、「お互いが学び合うことで、繊維産業を次の時代に導く原動力になる」と期待を寄せた。リサイクルが難しい衣類は、住友大阪セメントが製造工程で熱エネルギーとして活用し、廃棄ゼロを目指す体制を整える。