繊維機械のトレンド射貫く ITMAアジア+CITMEシンガポール②
2025年11月26日 (水曜日)
電子柄丸編み機で新機種
編み機では、高付加価値機の新機種が発表される一方、価格を抑えた機種の提案も見られた。
丸編み機の福原産業貿易は、得意とする電子柄丸編み機で新機種を発表し、「M―LEC7KS30」を展示した。シリンダー側が3ポジションのダブルニット機で、柄表現の進化とともにファインゲージ化も進め、40ゲージ機で実演した。
アクチュエーター(作動装置)は従来機と同じだが、新開発の選針機構により高速化や省エネなどにつなげている。針やジャックなども工夫され、高速化しても発熱しにくく、作業がしやすい低床化も実現している。
電子柄機は、今後の開発においても重点分野の一つに定め、さらなる進化に取り組む。オートドッファー(自動玉揚げ)など省力化や自動化への開発も重要になるとみる。
一方で、低価格帯での開発も見られた。横編み機の島精機製作所は、価格を抑えた成型横編み機の新機種「N SSR132」を発表した。中国メーカーに取られたシェアを取り戻す戦略機に位置付ける。部品や調達、設計を見直して徹底的にコストダウンし、日本製で買いやすい価格を実現した。
インドやバングラデシュなどの市場に合わせ、幅なども見直している。成型編み機では110㌢幅の112型や120㌢幅の122型を展開してきたが、中国メーカーは130㌢幅が多いと言う。ユーザーからも120㌢幅では足りないとの要望があり、発表した新機種は130㌢幅とした。「中国機では満足できないユーザー」に向け、リーズナブルな価格と信頼性を訴求し、中国機からのシェア奪回を目指す。
靴下編み機のロナティ(イタリア)は、靴下編み機4台を展示したが、うち2台は中国製の「ロナニット」だった。中国メーカーと競合する領域をターゲットにした商品で、中国工場(浙江省)で生産する。
ロナティの代理店を務めるユニオン工業(兵庫県尼崎市)は、これまで低価格対応で韓国のスーサン製を日本市場で提案してきた。今後はロナニットに切り替え、ロナティとして、高性能の欧州製から価格を抑えた中国製までそろえての提案を予定する。
経編み機のカールマイヤー(ドイツ)は、市場で人気の「HKS 2ーSE TWO」と、メーンモーターを増やさず幅を従来の2台分にすることで省エネや省スペースを実現した「HKS 4ーM EL ECO」を展示した。
2ーSE TWO型は、生地中での柄切り替えができる機種。従来からある技術だというが、カバーリングの伸縮糸を使ってシボを出した生地がワンピースなどで世界的にヒットしていることを受け、機械の需要も高まっている。今回出した2台はともに欧州製だが、要望の高まりを受けて2ーSE TWOは中国生産に切り替える予定と言う。





