新春アンケート どうなる2025年の繊維産業(1)
2025年01月07日 (火曜日)
〈原材料価格は?/「上がる」ではなく「上げる」〉
設問の二つ目は、「繊維製品の原材料価格はどうなるか」。前年は「上がる」が71%だったが、25年はさらに上回り76%となった。これは一昨年の62%も上回る結果であり、25年もしばらく原材料価格の上昇が続くとの認識を深めている。
やはりロシアのウクライナ侵攻や中東情勢の不安定化といった地政学的な緊張、新型コロナウイルスを含む感染症の脅威、世界的物流網の混乱、インフレ圧力、円安の進行など「さまざまなリスクにさらされており、原油・原燃料価格や電力・ガス価格、人件費などのコストの上昇が見込まれる」(東レインターナショナルの片岡智彦社長)との見方が強い。
「まだ人件費が上がり切っていない。諸物価に比べて人件費は低い」(サンウェルの今泉治朗社長)、「人口減少と高齢化による市場縮小の影響で生産量は減る」(フルカイテンの瀬川直寛代表取締役CEO)といったことを加味すれば、「原材料価格が下がる要因は見当たらない」(レナウンの辰己貴義社長)。さらに「加速するサステイナブル志向に対して、再生繊維の原料費の高騰」(ボンマックスの外川雄一社長)といった要因も挙げられる。
もっとも「上がる。ではなく『上げる』。上げないと事業継続が困難」(東洋紡せんいの清水栄一社長)といった声もあり、25年も「値上げの状態が継続する」(岡本の岡本隆太郎社長)可能性が高いとみられる。
「変化しない」と回答した企業の中にも「急激な円安などが起きない限りは高値安定の傾向が続く」(商社)と警戒。米国のトランプ次期大統領の関税政策や石油・天然ガスの増産で一時的に原燃料価格が下がる可能性もある。しかし、「人件費の上昇傾向は継続し、コストが下がることはない」(アツギの日光信二社長)との見方を示す。
〈拡大する小売り業態は?/OMOがより浸透へ〉
設問の三つ目は「拡大する小売業態は?」。今回も「ネット通販」が1位の91票で、前年よりもさらに選択する企業が増え、2位「SPA」(47票)、3位「百貨店」(40票)を圧倒的に突き放した。閉店が相次ぐイトーヨーカドーを受け、「GMS」は前年の9票から今年は3票に減少。カタログ通販も前年の4票から1票のみとなり、厳しい商況を反映した結果となった。
ネット通販が拡大する理由として「OMO(オンラインとオフラインの融合)の浸透により、ネットでの購買がより手軽になる」(東亜紡織の戸口雄吾社長)、「アパレルやSPAなどのネット比率がさらに上昇する」(帝人フロンティアの平田恭成代表取締役社長執行役員)。さらに「消費者のデジタルシフトと実店舗の閉鎖が影響して売り上げ規模拡大」(トリンプ・インターナショナル・ジャパンの柏崎泰秀執行役員)の可能性もありそうだ。
「ユーチューブや商品紹介動画など、商品の情報が手軽に調べられる環境も後押ししている」(ジーベックの後藤允臣社長)との意見もあり、ネットを駆使した多角的な販売戦略が浸透しつつある。アパレルメーカー各社では「グループの強みを生かし、モノ作りを伝えるコンテンツなどに加えて、独自の会員サービス『ワールドプレミアムクラブ』でのコミュニケーションを進化させる」(ワールドの鈴木信輝社長)といった動きもあり、ネット通販を注力分野に位置付ける。
ただ、運送費高騰の動きが現実味を帯びる中、「シーインなど激安EC(電子商取引)サイトの台頭による単価低下などがどう影響するか」(おたふく手袋の井戸端勇樹副社長)懸念する声もあり、常に価格競争に巻き込まれない戦略を意識しておく必要性がありそうだ。
次に多かったSPAは、コロナ禍以降、24年まで順調に回復を続けており、「25年も引き続き好調に業績を拡大する」(丸紅の渡辺一道ライフスタイル本部長)、「ベーシックで中低価格の商品はネット通販で、こだわりのある高付加価値商品はSPAで購入というトレンドは強まる」(北高の高山茂也社長)と予測する。
百貨店も「インバウンドの回復が続く」(日清紡テキスタイルの村田馨社長)、「富裕層に特化した販売手法に変化し収益性が高まる」(ニッケの金田至保常務執行役員)として期待感は大きい。ただ、「消費者のコストパフォーマンスへの意識が高くなってきており、ブランドだけの百貨店では満足しなくなっている」(リュクスの金子忠正社長)との声も。「高付加価値は百貨店で、『コスパ』重視はネット通販で向上する」(アパレルメーカー)として、両面を強化する動きも活発になりそうだ。
他にもリセール(2次流通)やメルカリなどフリマサービス、ドラッグストア、リユースなどを挙げる声もある。nishikawaは「労働生産性の向上や企業価値の向上を図る上で、企業の戦略としてますます重要になっていく」(竹内雅彦執行役員)として、健康経営やスリープテック事業の拡大を期待する。
デサントジャパンはインバウンドのさらなる増加が見込まれる直営店を挙げ、「自分の体に合ったサイズ推奨サービスの導入など、利便性向上」(嶋田剛社長)で新たな客層を取り込む。





