新春アンケート どうなる2025年の繊維産業(2)
2025年01月07日 (火曜日)
〈店頭価格は?/コスト高の転嫁必須〉
四つ目の設問、「店頭価格は?」については、引き続き「上昇する」が最多で83%だった。ロシアがウクライナを侵攻した2022年以降、ずっと「上昇する」との回答が最も多く、逆に「低下する」は1%だった。「原材料、エネルギー価格、円安、人件費の上昇から価格への転嫁が予想される」(旭化成の工藤幸四郎社長)、「最終製品への価格転嫁は継続的に浸透する」(東レの沓澤徹専務執行役員)との見方が大勢を占める。
「コスト高を店頭価格に転嫁せざるを得ない」(双日ファッションの由本宏二社長)、「24年は企業努力で抑制していたが、小売価格変更なしでは限界に近づいている」(瀧定名古屋の住田智勝常務)のが実情。「利益率を上げることも必要」(デビスのデニス・ハニ社長)とする中で、価格上昇が避けられないものとみる。
一方で「値下げを減らすなどの小売り側の努力や対応により店頭価格は変化しない」(商社)との見方も。「商品群によっては、価格転嫁ができないため二極化する」(大和紡績の有地邦彦社長)可能性も考えられる。
「価格ではなく価値によって消費されるモノは、どんどん機能やクオリティーを求められる」(タビオの越智勝寛社長)ようになり、「高付加価値戦略にシフトする企業も出てくる」(丸紅の渡辺一道ライフスタイル本部長)との予測も。「機能性やクオリティーを高めた『高単価・高品質』のモノ作りにより、長く着られる製品の提供を目指す」(アパレルメーカー)と、価格競争に巻き込まれない戦略が求められる。
〈国内生産数量が拡大するのは?/サステなどで「化合繊」〉
設問の五つ目は「国内生産数量が拡大する工程は?」。1位は前年に引き続き24票を集めた「化合繊」だった。「高機能・高性能繊維やサステイナブル素材は拡大が期待される」(素材メーカー)点や「国内・海外ともに、スポーツ・アウトドア分野は堅調」(商社)な点を挙げる。
また、「フェムテックやメンテックといった新たな視点の商材に注目が集まることに加え、猛暑対応・暖冬対応が求められる」(アツギの日光信二社長)傾向にあり、「北陸産地の合繊系はクオリティー、価値もあり、海外輸出は一定の伸長があるのでは」(イトキンの前田和久社長)といった声も聞かれる。
次に多かったのが14票の「縫製」。「CO2削減のための地産地消の推進や小ロット対応、インバウンドに向けたメード・イン・ジャパン商品の生産が拡大する」(帝人フロンティアの平田恭成代表取締役社長執行役員)、「円安、高価値により日本生産見直し」(小泉アパレルの海原耕司社長)で追い風が吹く可能性もある。その他としては「反毛・リサイクル」を挙げる声があった。
一方で衣料品の輸入浸透率が98・5%に達する中、「現状から国内生産量は拡大すると思えない」(双日インフィニティの中村靖明社長)といった声も聞かれ、6割超の企業が「特にない」と回答した。
〈海外生産・調達を拡大するか?/供給網の多様化加速〉
「海外生産・調達を拡大するか?」の問いには、72%が「する」と答えた。前回とほぼ横ばいで、この10年間は22年にコロナ禍で62%となった以外は、70%台を維持する。
拡大させる場合の対象国・地域の1位は12年連続となるベトナムで66票だった。2位は中国で38票、3位はインドネシアで30票だった。ベトナムは「生産リードタイムが他国に比べて短い」(商社)ことに加え、「価格と品質のバランスが良く、安定感がある」(三共生興の宮澤哲次取締役)。
前回は3位だった中国は「地域的な包括的経済連携(RCEP)協定の合意にもある10年後の関税撤廃も視野に一定レベルの生産地として確保していく考え」(岡本の岡本隆太郎社長)といった理由などから再び2位に返り咲いた。
ただ、「地政学リスクを考慮して、中国から東南アジアに分散が進む」(しまむらの鈴木誠社長)として、「一つの国に偏ることなく、自社グループのサプライチェーンの連携により適地生産を深耕する」(シキボウの尾崎友寿上席執行役員)といった動きが活発化。「欧米を中心とした中国離れや、グローバルSPAのASEANシフトに対応する」(帝人フロンティアの平田代表取締役)ためにもインドネシアやバングラデシュ、ミャンマーなどへも調達先が広がる。
米トランプ政権発足による米中貿易摩擦の再燃、バングラデシュ政権崩壊などの「地政学的リスクの高まりからかじ取りは難しい」(商社)面もある。しかし、「グローバルに見れば成長産業である繊維事業は、海外を生産拠点としても市場としても今後さらなる拡大が見込まれる」(東レの沓澤徹専務執行役員)として、25年も「サプライチェーンの多様化を加速させる」(瀧定名古屋の住田常務)動きが一段と強まりそうだ。





