ごえんぼう

2025年11月28日 (金曜日)

 子供のタブレット学習の弊害が言われる。知りたいことや正解にすぐたどり着くため記憶の定着率は低下し、大量の情報にさらされることで脳の発達が遅れるという▼辞書を引いたり、ノートに手書きしたりするよりも便利で効率的なはずが、使い方次第で裏目に出てしまう。便利さの追求は、生活を快適にする一方で、失われるものや新たな問題を引き起こすことがある▼スマートフォンや人工知能(AI)の普及による人間関係の希薄化はよく指摘される。ワンクリックで商品が届き、地図アプリで最短ルートを進めるが、偶然の発見を楽しむ機会は失われる。便利になるほど面白みに欠ける感は否めない▼最近「不便益」という考え方が注目される。あえて手間をかけることで得られる喜びや満足感を重視すること。フィルムカメラやレコードの再ブームはその一例だ。考えに行き詰まったら、不便さを一考するのも手だろう。