繊維機械のトレンド射貫く ITMAアジア+CITMEシンガポール④

2025年11月28日 (金曜日)

AJLで新機種

 織機ではエアジェット織機(AJL)での新技術が見られた。津田駒工業は今回展で、タオル用AJLの新機種「ZAX001neoテリー」を発表。タオル用織機では約10年ぶりのフルモデルチェンジとなる。

 2021年のITMAアジア(上海)で発表されたAJL「ZAX001neo」をベースにし、生産性や省エアなどの性能を引き継ぎながらテリーモーションを最適化した。新しい電子テリーシステムを採用し、新型ギヤボックスとリンク機構の最適化でパイル製織の回転数向上を実現。タオル製織でも常用700~800回転が可能と言う。タオル専用に最適化したカム曲線の採用で生産性や品位の向上とともに、難易度の高い緯入れも可能にした。

 ブースでは積極電子ドビー搭載の280㌢幅機で、バスタオル(3巾、マルチパターン)の製織を実演した。インドやパキスタンなど高生産性が求められる市場だけでなく、日本のような品位・品質が重視される市場にも向く機種として展開していく。

 イタリアのイテマは、中国製AJLの新機種「ガリレオAX」を発表したほか、レピア織機ではガイドレス式の超広幅機などを披露した。ガイドレス式はこれまで360㌢幅までだったが、540㌢幅を実現し、会場ではコーティング織物の実演を行った。繊細な糸を扱う企業からはガイドレス式への要望が高く、日本市場でも「R9500エヴォ」でガイドレス式超広幅機の提案を進める。

 レピアの新機種は、23年のITMAミラノでR9500シリーズの第三世代機となるエヴォ型を発表しているが、27年のITMAハノーバーに向けては、新型レピア織機の開発に取り組んでいるもよう。

 ベルギーのピカノールは、電子開口「スマートシェッド」を搭載したAJL「オムニプラスiコネクト」で、高速回転での実演を行った。電子開口は豊田自動織機の「Eシェッド」が先行しているが、ピカノールも19年のITMAバルセロナでスマートシェッドを発表し、今回展では改良した新タイプを披露した。

 オムニプラスは、省エアや回転数の向上を実現した。メインノズルの構造も変わり、出力の向上やエア消費の抑制にもつなげた。従来よりも約100回転の高速化を実現しており、会場ではプレーンなカム機で1400回転の実演を行った。消費電力も従来比で1・5㌔㍗削減すると言う。

 レピア織機は中国製を主体に展示した。代理店を務めるエディー(大阪府東大阪市)によると、日本での中国製の販売も可能と言う。

 細幅織機では、吉田機械(石川県白山市)が厚地ベルトなど多層極厚織物用の新型細幅シャトル織機を展示した。芯糸を使わず、織機で直接一体化した構造で3層以上を製織できる。経糸の送り出し制御はグランドのワープビーム1本だけで製織可能とした。