繊維機械のトレンド射貫く ITMAアジア+CITMEシンガポール⑤

2025年12月01日 (月曜日)

扱いやすさも訴求点に

 織機関連では、ストーブリが新型の自動ドローイング機「サファイアS37」を披露した。生産性や扱いやすさなどが向上した。

 自動ドローイング機は人手不足を背景に日本でも需要が高まっており、近年は太い糸を扱う産業資材用途などでも導入が進んでいる。サファイアS37は生産性が大きく高まったほか、糸に触れる部分を少なくして部品の消耗も40%抑える。画像処理能力の向上や特殊な糸でも条件設定を容易にするなどの機能も盛り込んだ。日本での初導入は北陸になる。

 織機の高速化に合わせて開口機も進化している。会場では、1200回転に対応するドビー機「S3280型」なども紹介した。

 リード(筬〈おさ〉)では、日本から高山リード(金沢市)と木地リード(石川県白山市)が出展した。高山リードは、各種リードのほか、織機上でのリードクリーニング機、サブノズルの詰まりなどを点検できるサブノズルインスペクターなど織機のメンテナンスに役立つ機器を紹介した。

 リードでは筬密度を連続的な濃淡をつけて設定できる「グラデーションリード」を紹介した。レピア、ウオータージェット、エアジェットの各種織機用をそろえ、新しい織物の開発につながると好評を得た。効率の向上につながるリードも注目され、リード上部を広くした特殊形状で糸の結び目も簡単に通るようにした「マジックリード」や、サイジングやビーミングでの綾取りを可能とするフックリードなども関心を集めたと言う。

 木地リードは、インドやパキスタンなどをターゲットに出展。日本や海外での生産体制をパネルなどで紹介し、グローバルな供給体制を訴求した。

 今回展でも来場者が多かったインドでは、技術提携しているブルーリード(スペイン)との合弁で工場を設立しており、昨年夏から稼働している。来年にインドで開かれる国際的な繊維・アパレル産業向けの機械・設備の展示会「ITME」にも出展する予定。中国、インドネシア、ベトナムなどにも生産拠点があり、海外生産体制を整えている。

 イズミインターナショナル(大阪市北区)は、ガラス繊維用などで使われているテンション管理装置を紹介した。ガラス繊維以外にも使うことができ、今回展ではガラス繊維よりも高級合繊糸を扱う企業をターゲットにした提案をした。

 紡糸用ノズルの化繊ノズル製作所(同)は複合紡糸用や不織布用の各種ノズルを紹介したほか、新たに開発したノズルのメンテナンス装置を展示した。複合紡糸用では、自社開発の複合繊維の糸断面をパネル展示し、不織布用はサンプルも用意して紹介した。ろ過膜の分野では、人工透析や血液浄化、ガス分離、水処理などさまざまな用途で使われる中空糸膜用ノズルも紹介した。

 新開発のメンテナンス装置は、顕微鏡でノズル孔を見ながら汚れを除去できるもの。サブミクロンサイズのノズル孔の汚れ除去に使う針は非常に細いものになる。人の手では正確に上下に動かすことが難しいが、同装置を使うことで、ノズル孔を傷つけず正確に清掃できる。