繊維機械のトレンド射貫く ITMAアジア+CITMEシンガポール⑥

2025年12月02日 (火曜日)

染色のフロアも盛況に

 染色機械では、日阪製作所が新水洗機構を搭載した環境配慮型の液流染色機を展示した。同社は新型コロナウイルス禍での「ITMA2023」「ITMAアジア+CITME2024」への出展を見送っており、国際展への参加は2019年にスペイン・バルセロナで開かれた「ITMA2019」以来6年ぶりになる。久しぶりに復帰したこともあり、ブースは多くの来場者でにぎわっていた。

 今回展では液流染色機「サーキュラー」の最新機種「CUT―SG」の実機を展示した。大容量化で1対4の低浴比化を実現したZR型をベースにして、節水につながる新型水洗機構を搭載している。先行して販売する日本では既に導入実績があるが、海外ではこれが初披露となった。

 ブースへの来場者は中長期での重点市場に定めるインドのほか、パキスタン、バングラデシュなど西アジアからが多くを占め、具体的な引き合いも得たと言う。新型水洗機構への注目度も高かったが、特に生産性を重視する声が多かったため、まずは大容量のZR型で商談を進めていく。

 日阪製作所のブースでは日華化学も参加し、繊維用加工剤を紹介した。両社ともポリエステルを中心とする合繊染色で付加価値を重視する染工場をターゲットにしており、協業が可能とみる。

 東伸工業は、捺染機を総合的に展開していく方針を打ち出した。今回展では、開発に着手したシングルパス式インクジェット捺染機(IJ機)「mm9」の紹介とともに、島精機製作所から事業を譲受する形でDTG(ダイレクト・トゥ・ガーメント)機に参入することも表明した。引き続きスクリーン捺染での開発を進めると同時に、デジタル捺染機も拡充して、対応の幅を広げる。

 mm9は毎分60㍍など仕様も紹介。協業している中国のアテスコもシングルパス式を展開しているが、アテスコは京セラ製であるのに対し、東伸工業はエプソン製のヘッドで開発を進めている。

 日本での販売を東洋紡エンジニアリングが手掛ける、イタリアのフェラーロは、生地の洗浄後の水を循環して使える精練機を紹介した。高周波技術とフィルターで油や汚れを除去し、水を繰り返し使えるようにできる装置が付いており、水や薬品、エネルギーの使用量を大きく減らす。東洋紡エンジニアリングでは、同装置を別売りにして、既存の機械に付ける形での日本市場への提案も視野に入れる。