繊維ニュース

大手学生服スクールスポーツ/採用校の獲得順調/ニーズ応えた商品そろえ

2025年12月02日 (火曜日)

 大手学生服メーカー3社はスクールスポーツ事業で、ユーザーのニーズに応えた商品群を用意しながら採用校の獲得につなげている。各社は来入学商戦に向けても販売、生産ともに順調だ。気候や嗜好(しこう)などによって、求められる商品も変化する中、新たな提案や新ブランド投入の動きも見られる。(秋山 真一郎)

 菅公学生服はスクールスポーツ市場でトップのシェアを維持する。自社ブランドの「カンコー」を中心に採用校を順調に増やしている。主力とするのが「カンコープレミアム」で、防風や軽量などの機能に加え、高い耐久性も持つ生地「グランガード」や、保温性の高い「モアヒート」などが評価され、順調に新規獲得校を増やす。同ブランドは来春に累計採用校数が650~680校となる見込みだ。

 今期(2026年7月期)は引き続き各ブランドを伸ばしつつも、「二次加工の提案を強化する」(勝山裕太営業本部企画推進部スポーツ企画推進課長)。これまで体育着向けマークは1色のシルクプリントが主流だったが、協力業者と組み、細かいデザインができるフルカラーの転写マークの提案を強める。併せて、シール感覚で貼り付けられるアイロン不要のワッペンも訴求する。

 「ビクトリー」「ヨネックス」「アンダーアーマー」という主力3ブランドを軸に受注につなげているのがトンボだ。来春は前年とほぼ同数の約250校の新規採用の獲得となった。

 引き続き貢献するのが、自社で生産体制も確立する昇華転写プリント。学校オリジナルの表現ができる強みで評価が高い。このことから、昇華転写設備の増強も図った。独自の軽量ポリエステルニット「ピステックス」も好評と言う。

 アンダーアーマーは高いブランド力とデザイン、高機能性で堅調。ヨネックスも安定的に受注を伸ばしている。

 明石スクールユニフォームカンパニーは、今春から投入する新ブランド「FEEL/D.」(フィール/ディー)が採用校の獲得に貢献する。来春は今春と同程度の50校の採用を見込む。さまざまなパーツから構成される機能性とシンプルなデザインが支持され、「手応えを感じている」(榊原隆取締役営業企画本部副本部長)。

 さらに、再来年の春入学を皮切りに、新ライセンスブランドの「ムーブスポーツ」も打ち出す。「高揚感を高めてくれる」ようなグラフィックデザインを取り入れ、デザイン性にこだわった。機能性も併せ持つ。3モデルを展開し、初年度は50校の採用を目指す。

 各社はここ数年、安定納入にも力を入れている。来春の入学商戦に向けても生産キャパシティーの確保は順調で、万全な供給体制で臨む。