帝人フロンティア、旭化成アドバンス 売上高5千億円へ
2025年12月03日 (水曜日)
帝人フロンティアの平田恭成社長、旭化成アドバンスの春見恵司社長は2日、2026年10月1日に予定する経営統合について会見した。経営統合の経緯を説明するとともに、四つのシナジー・成長戦略によって30年近傍には売上高約5千億円を目指すことも明らかにした。
経営統合は帝人フロンティアを存続会社、旭化成アドバンスを消滅会社とする吸収合併後、帝人と旭化成の共同出資による合弁会社にするもの。新合弁会社の出資比率は帝人80%、旭化成20%。新社名・所在地、代表者などは現在、未定。
統合により売上高は約4400億円(帝人フロンティア約3500億円、旭化成アドバンス約900億円)、事業利益で約220億円(それぞれ約180億円、約40億円)規模。ROIC(投下資本利益率)8%以上を維持し効率的な事業運営を見込む。グローバルでの拠点数は国内42、海外31、従業員数は約6700人となる。
統合経緯について、帝人フロンティアの平田社長は「不確実性が高まる中で将来に向けてさまざまな議論を行い、持続的な成長と企業価値の最大化を図る上で、旭化成アドバンスが最善のパートナーであるという結論に至った」と説明。旭化成アドバンスの春見社長も「事業領域の拡大、独自ビジネスの強化を進める中で事業領域が非常に近い帝人フロンティアとの統合案が浮上した。経営統合によって、両者の強みをさらに強化し、弱い部分はお互いに補完し合うことで事業発展できる」と述べた。
四つのシナジー・成長戦略は①両社グローバルのバリューチェーンの統合②規模拡大・両社の素材ブランドを生かした共同での営業活動・新規顧客開拓③高機能素材の共同開発④人財交流を通じた技術・ノウハウ――を挙げた。
価格競争力ある製品提供へ
バリューチェーンの統合では原材料調達の最適化も含め安定供給体制を確保してコスト削減を図り、価格競争力の高い製品の提供を目指す。規模拡大・両社素材ブランドを生かした営業では規模拡大と用途展開の広がりが市場、顧客からファーストコンタクト先になりやすいとし、新規の顧客開拓を促進。さらに、両者の持つ商材、製品ブランドのクロスセールで拡販を図る。
高機能素材の開発は、衣料繊維、産業資材と研究開発を統合して共同開発を推進。ニーズを反映するほか、サステイナビリティー志向への対応力も強化する。人財交流はグローバルな各拠点で人材交流を通じてノウハウを共有化。従業員の成長につなげるとともに従来のオペレーションの効率化、高度化、生産性の向上、営業力の強化を目指す。
具体的なシナジー・成長戦略は3月末を予定するクリアランス取得後、詳細を詰めるスケジュールを組む。
なお、帝人フロンティアは2日付で統合準備室を設けた。





