帝人フロンティア スポーツは海外に伸び代

2025年12月04日 (木曜日)

 帝人フロンティアは、海外市場を軸にスポーツ・アウトドア用素材の販売拡大を図る。今期(2026年3月期)は、売り上げと利益ともに前期比2桁%に近い拡大を見込み、来期以降も成長が可能とみる。開発品・差別化品を投入し、需要を取り込む。

 同社のスポーツ・アウトドア用素材の展開は、海外市場向けが全体の7割を占めている。上半期の海外向けは、前年同期比増収増益を確保し、通期でも増収増益を計画する。「海外には多種多様な顧客が存在し、市場規模も大きい」とし、今後も主軸とする方針を示す。

 中でも欧米が主力になるが、欧州は回復基調にあるものの、新型コロナウイルス禍前の水準には戻っていない。米国は、トランプ関税の影響は足元では顕在化しておらず、堅調な動きを維持している。中国は、経済の鈍化が指摘されるが、「伸びている部分をしっかりと取っていく」とした。

 米国を中心に先行きには不透明感が残っているが、開発品・差別化品を打ち出し、拡販につなげる。現在は、綿の風合いと外観を再現した「アスティ」、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)繊維「ソロテックス」シリーズが幅広い用途で採用されるなど、順調に推移している。

 アスティは、天然ライクな見え方や素材感が評価され、これまで定番だった同じスパン調質感の「デルタ」から置き換わりそうな勢いを見せている。ソロテックスは、脱ポリウレタンの流れで注目度が高まっているほか、質感などが受け入れられていると分析する。

 新商品も積極的に提案を行っており、「カラット X」の訴求も始める。特殊織・編み物「トリプルドライ カラット」と高濃度フルダルコンジュゲート原糸を組み合わせることで、肌面のドライ感、遮熱、UVカット性、防透性、汗染み低減などの快適機能を付与した。汗染み低減はこの1年ほどで急激に需要が増えているとし、販売拡大に期待をかける。