「第46回AFF・東京 2025秋」レビュー~再発見のアジア企業④

2025年12月04日 (木曜日)

AI活用のアピールも

 AFFは、豊富なOEM/ODMの経験を持ちながら、新しい試みを発信し、日本市場の深耕につなげようとする企業が数多く出展している。

 杭州同耀進出口は、織物の婦人服を生産する。取引先の中心を欧州のハイブランドが占めるが、ビジネスのリスク分散の一環として、日本市場を開拓しようと、3年ほど前からAFFに出展している。

 2次加工を得意とし、高品質のアイテムの生産で培った経験は、対日ビジネスでも強みとして生かせるとする。

 今回展では、人工知能(AI)の活用も提案した。同社は社内に「AIチーム」を設け、デザイナーが開発したソフトウエアを駆使して、AIを取り入れたデザインの普及を推進している。「欧州のブランドからAI活用を要望する声が多く寄せられる」と背景を語る。

 大連易中進出口も、2024年から出展を続ける。元来は和装品に特化したOEMを行っていた同社は、新型コロナウイルス禍で日本各地の祭りが続々と中止になったのを機に、ユニフォーム分野にも事業領域を広げた。同社にとってAFFは、新規顧客を開拓する重要な場となっている。

 今回は猛暑対策のニーズに対応する品ぞろえをアピールした。薄手で接触冷感などの機能を備えた生地で作るユニフォームを打ち出していた。

 嘉興華欣達紡織は、ウールを中心とする生地メーカーで、織物とニットの生地の生産をデザインから一貫して手掛ける。併せてウール製品の生産も行っており、デザインやパターン作成も担う部署を設けている。

 製品の大半は中国国内の高級ブランド向けだが、欧州のブランドに向けたビジネスの実績も持つ。日本向けは商社経由で製品を供給している。

 中国の企画会社と契約し、トレンドの把握に注力しており、AFFでもファッションに対する最新のニーズを探っていた。

 南通心一国際貿易は、100%日本向けに織物の婦人服を生産する。綿や麻といった天然繊維を得意とし、プリーツや刺しゅうなどの2次加工で付加価値を高める体制を築いている。

 対日ビジネスを熟知していながらも、「市場の最新の動向をつかみたい」と、4月の大阪開催に続いて出展した。

 今回も、新規受注が期待できる来場者との対話があったと言う。