成長の可能性探る商社繊維事業~2025年4~9月期決算から⑤

2025年12月05日 (金曜日)

利益改善の努力実る

価格改定の成果で増益 東洋紡せんい

 東洋紡せんいの2025年4~9月期単体決算は、売上高207億円(前年同期比31・8%増)、営業利益5億5200万円(255・5%増)、経常利益6億8700万円(28・8%減)だった。関係会社から一部事業が移管されたことで増収となり、営業利益は国内工場の構造改革や価格改定などの成果で大幅に増加した。経常利益の減少は、前年計上した子会社吸収の影響がなくなったため。

 スポーツ事業では生地販売が好調も製品販売が減少。事業再編を進めたが、黒字化には至らなかった。マテリアル事業は糸売りを中心に堅調に推移し、増収増益。ユニフォーム事業は前期まで好調だった別注案件の反動で減収だったが、一定の利益を確保した。スクール事業は市況悪化で減収減益。輸出織物事業は中東向けの好調ぶりが継続した。工業材料事業と機能資材事業も安定収益を維持した。

 通期業績は売上高450億円、営業利益18億円、経常利益19億円を見込む。

スポーツ好調で増収増益 クラレトレーディング

 クラレトレーディングの25年1~6月期連結決算は、取扱高799億円(前年同期比2・1%増)、売上収益339億円(5・2%増)、営業利益30億4200万円(10・9%増)、経常利益33億2700万円(19・3%増)、純利益23億200万円(19・0%増)と大幅増益だった。

 繊維関連事業は取扱高214億円(3・6%増)、売上収益158億円(1・4%増)、営業利益13億1400万円(24・8%増)。衣料分野では国内や中国でスポーツ用途の販売が順調に拡大し、増収増益だった。ユニフォーム用途では白衣や介護などヘルスケア分野が順調だったが、学校体育服が流通在庫の調整局面となったことで減収だった。資材分野では、メディカル用途がコストアップの影響で減益。その他の用途では不織布が堅調だったが、中国向け原糸販売が苦戦した。人工皮革「クラリーノ」では自動車用途が需要家の生産調整を受け減収となった。

 通期は、取扱高1620億円、売上収益700億円、営業利益65億円、経常利益65億円、純利益44億円を見込む。

不採算見直しで赤字縮小 ユニチカトレーディング

 ユニチカトレーディングの25年4~9月期単体決算は売上高126億円(前年同期比3・8%減)、営業損失1億円(前年同期は4億円の損失)、経常損失1億円(同4億円の損失)、純損失1億円(同3億円の損失)だった。

 衣料繊維ではユニフォームが官需を中心に堅調に推移したが、婦人服地や寝装、スポーツなどが低調だったため減収減益。産業資材では生活資材、土木用途などが堅調に推移し、増収増益となった。デニム輸出を中心としたグローバル事業は、有力取引先からの受注減少で振るわなかった。全体として不採算販売の見直しで赤字が縮小した。

 衣料繊維事業は12月末で営業を終了し、シキボウに事業譲渡する。このため通期業績見通しは合理的な予想が困難なことから未定。

(おわり)