「第46回AFF・東京 2025秋」レビュー~再発見のアジア企業⑤

2025年12月05日 (金曜日)

多彩な顔触れの初出展者

 AFFは着実に新規出展を獲得し、顔触れの多様性が増している。新規出展の動機もさまざまで、展示会に寄せられるニーズの幅広さが表れていた。

 広州瀚芸服装服飾はメンズ、レディース、キッズの織物製品を手掛ける。主にフランスやドイツなど欧州向けにビジネスを行っているが、「アジアの市場に進出したい」と、日本で開かれる展示会に初めて出展した。「日本市場は消費の力が強く、中高価格帯の製品が売れそうだという期待が持てる」と語る。

 中国のトップデザイナーと連携し、デザイン力を強化しながら、環境関連の認証を積極的に取得していることを発信した。

 デニム専業メーカーの東莞麗進紡織服装も、日本での展示会は初めてで、米国中心の販路をアジアにも広げる契機をAFFに求めた。

 「日本の市場は大きいが、小ロットのニーズが多そう」とイメージを示した。そうした市場に向けて、洗い加工なども一貫で担う生産体制をアピールした。

 蘇州蘇瑞時装も新規出展者で、欧州向けのビジネスを日本でも展開しようとAFF出展を決めた。

 同社は生地の開発から担うODM企業で、織物とニットのアイテムを生産する。ベトナムとカンボジアにも生産拠点を持つ。

 シルクをはじめ綿、麻など天然繊維を使ったアイテムを得意とする。「日本はオーガニック製品への関心が高いようなので、チャンスがありそう」と期待していた。

 JL FASHIONは、メンズとレディースの織物を欧米に供給している。事業のリスク分散のため、日本市場への進出を目指し、AFFに初出展した。

 「品質重視の日本市場では、当社の生産力が生かせると考えた。小ロット・短納期のニーズにも対応する」と意気込んでいた。

 生地メーカーの東立繊維は、出展自体が初めての経験だった。100%日本に向けたビジネスを手掛けてきたが、さらにニーズを掘り起こすため、展示会でのアピールを試みた。

 製品OEM/ODMを担う親会社の事業と併せた発信を行った。「他社が避ける生産が非効率な高付加価値製品を積極的に受注し、差別化につなげる」と強調していた。

(おわり)