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耐滑ソールの訴求活発化/“滑らない”が生活、仕事支える

2025年12月05日 (金曜日)

 耐滑性を高めた高機能ソールの開発・提案が広がっている。屋外から作業現場、食品関連まで滑りやすい環境での安全性向上が求められる中、独自設計や生物模倣技術を生かしたソールが相次ぎ登場。国内外での採用拡大に向けた動きが活発化している。

〈3分野で「ミルヴァスタ」拡大へ/伊藤忠〉

 伊藤忠商事は高機能ソール「MILVASTA」(ミルヴァスタ)の販売を強化する。ミルヴァスタは、同社と日本のゴム製品メーカーが共同開発した耐滑性と耐久性に優れるアウトソールのブランド。高機能を生かしてアウトドア、シティ、ワーキングの3分野で拡大を図る。

 ミルヴァスタは、水や油でぬれた床、路面など滑りやすい環境下でも高い耐滑性を発揮。緻密に計算された溝やパターンのデザインがグリップ力を高めている。摩耗に強く、ソールが長持ちするよう設計されている。ソールの耐久性の高さは、消耗の早いアウトドアやワーキング用のシューズにおいて、コスト削減や環境負荷の低減といったメリットにつながる。歩行時の快適性や軽量性にも配慮した。

 ソールは「Vシェイプ」「スタッドレス」「デルタ」の3タイプがあり、トレッキング向け、雪対策など、用途に合わせ提案する。

 国内のファッションブランドやメーカーで採用実績を増やしている一方、海外発信も行う。これまでにイタリア・ミラノの皮革見本市「リネアペッレ」に出展、好反応を得た。11月にドイツ・デュッセルドルフで開催された「A+A2025国際労働安全衛生展」ではメード・イン・ジャパンの品質をアピールした。

 アウトソールは、日本でも知られる「ビブラム」をはじめ有力メーカーが競合する市場だ。伊藤忠は「老舗メーカーとのパートナーシップで機能性、品質とも世界で通用するレベルを実現できた。高い安全性を求める需要に応えていく」と国内外での拡大に意欲を示している。

〈“ヤモリ”ソールで販路開拓/福山ゴム工業〉

 履物製造卸の福山ゴム工業(広島県福山市)は、ヤモリの足裏構造を参考に開発した滑りにくいソール、「GG360ソール」を採用したシューズで販路を広げる。現在展開するセーフティーシューズだけでなく、厨房向けなど食品関連企業などへの開拓を進める。

 作業現場での転倒や転落が問題視される中で開発したのがGG360ソール。生物の構造や機能などから着想を得て、新しい技術や製品を開発する技術のバイオミメティクスを活用し、ガラスの上でも滑らず歩くヤモリの足裏の構造をソールに落とし込んだ。

 水や油の膜をかき分けるデザインで、360度のグリップ性を持つ。今年3型を打ち出しており、今後も販売を広げる。

 ターゲットとするのが、食品衛生関連向けだ。来年は食品製造総合展の「フーマジャパン」に初出展するなどして販売を広げる考えだ。「今までとは違うやり方を実践していく」(松岡伸晃社長)として、事業所向けの販路開拓も進める。