ごえんぼう
2025年12月08日 (月曜日)
先日、京都の六波羅蜜寺に足を運んだ。歴史の教科書に掲載され、多くの人が一度は目にしたことがあるであろう、あの「空也像」を見るためだ▼空也は10世紀の平安中期、貴族中心だった仏教を市井へ開いた僧侶とされる。民衆の間を歩きながら念仏を唱え続けたため、「市聖」の名で呼ばれた▼その空也像は、鎌倉時代の慶派仏師・康勝の作。表情や動き、粗布の法衣のひだに至るまで写実的であり、唱えた念仏「南無阿弥陀仏」の6字が6体の阿弥陀如来となって口から現れる造形は、数ある仏像彫像の中でも特異な存在と言わざるを得ない▼人は古くから言葉を形に変えようとしてきた。空也像はその極北に立つ造形であるが、新聞もまた言葉を形にする営みで支えられている。もちろん世を救うなどとは言えない。だが業界を少しでも前へ進めるために、今日もどんな言葉を記事として残すか。日々悩み続けている。





