繊維ニュース

和歌山ニット商工協組  和歌山で糸と技術の融合

2025年12月08日 (月曜日)

 和歌山ニット商工業協同組合は4、5日、和歌山市内で「和歌山ヤーンフェア」を初開催した。「100年以上続く和歌山産地を次世代につなぎ、新しいモノ作りで産地の付加価値を高める」(山下智広理事長・エイガールズ社長)ことを目指し、糸と丸編み技術の出会いの場として、共同出展を含む16社が参加した。サンプル出荷が即決する案件も生まれ、会場では活発な商談が続いた。

 開催のきっかけは、今年の新年名刺交換会で上がった「糸展を和歌山で開きたい」という声だった。産地と接点の少ない企業にも呼び掛け、「新素材とのマッチングによるイノベーションの創出」も狙った。会場は工場が集まるJR紀三井寺駅近くに設定。組合員を主な対象とし、現場スタッフが業務の合間に立ち寄りやすい環境を整えた。

 和歌山とゆかりのある企業は、高付加価値糸を充実させた。東洋紡せんいは和歌山で量産展開が始まったリサイクル綿糸「さいくるこっと」を紹介し、ビンテージな風合いが関心を集めた。蝶理は常圧低温染色が可能で、交編した天然繊維の風合いを損なわないポリエステル紡績糸を展開。STXは落ち綿混糸「オールドコット」などの備蓄糸を和歌山で編み立てた生地を並べ、「生機しか見ていない現場スタッフに染色加工後の風合いを体感してほしい」と語った。

 シキボウ・新内外綿は、インナー向けの細繊度モダール使いの糸や綿キュプラ混の杢(もく)糸を紹介。帝人フロンティアは高収縮ポリエステルとリヨセルの特殊二重構造糸「マーフィル」を肌着用途に向けて提案した。ヤギは甘撚りコーマ糸使いの編み地をフジボウテキスタイル和歌山工場で加工し、ソフトな風合いを強調した。

 環境配慮型素材の提案も目立ち、旭化成アドバンスは、ベンベルグ不織布端材の再生糸や綿100%の梳毛糸を披露。豊島は、オーガニック綿のむら糸を新たに打ち出した。

他産地との接点創出

 和歌山産地との接点が少なかった企業からは「どんな糸が求められているか知りたい」との声が聞かれ、現場に新たな視点をもたらした。アビラス(奈良県大和高田市)は500色以上展開するウーリーナイロン糸を打ち出した。三山(大阪市天王寺区)は綿100%の接触冷感糸や回収牛乳パック由来の紙糸を紹介した。

 シモムラ(石川県小松市)と長谷川商店(愛知県一宮市)は、撚糸や加工技術による付加価値をアピール。トスコ(東京都中央区)はラミー糸、深喜毛織(大阪府泉大津市)はカシミヤの紡毛糸、キョウトテックス(京都市)は後染め対応可能なラメ糸を提案した。

 会場では「各社と密な商談ができた」(出展者)、「初めて見る糸が多く、開発のヒントを得られた」(来場者)といった反応が聞かれた。山下理事長は「今回の反応を踏まえ、次回開催につなげたい」と述べ、産地の一層の発展に意欲を見せた。