東洋紡せんい/ピン仮撚り糸をブランド化/違いの明確化で拡販

2025年12月08日 (月曜日)

 東洋紡せんいは、ポリエステルのピン仮撚り糸を「bounZa」(バウンザ)の名称でブランド化する。強みとする技術をブランディングすることで他社品との違いを明確化し、用途や販売の拡大につなげる。用途ではアウトドアのアウター分野に目を向け、ニットで需要を取りにいく。

 同社のポリエステルピン仮撚り糸は、「他社品と比べて高捲縮(けんしゅく)で、かつゆっくりと生産する」と言う。色差が出やすくなるなど管理が難しく、生産性も悪いが、「膨らみ感や軽さに優れているほか、スナッキングも起こりにくい」といった特徴を付与することに成功している。

 強みの一つとして以前から展開し、織物のようなハリ・コシを持つ編み地「スクラムテック」などにも用いてきた。生地は高い評価を得ているが、ピン仮撚り糸自体のアピールは十分とは言えなかった。今回、それをブランド化することで価値と存在を高める。

 バウンザを使った欧州市場向けのシャツ地(綿交編)は、46ゲージで編み立てており、織物のような外観を付与することができる。一方、ローゲージの特殊編み機で生産した丸編み地も軽く仕上がる。ジャージーを作ると独特のハリ感が付与できる。

 スクラムテックは、ポケッタブルのウインドブレーカー用途で提案するなど、アウトドアのアウター分野を攻める。同分野では「シルファイン―Nニット」を新たに開発。ピン仮撚りタイプと特殊フリクションタイプをそろえ、しなやかさや滑らかさ、発色性などを訴求する。

 そのほか、長短複合糸の「マナード」なども積極投入する。「アウトドアのアウター用途への提案は強化するが、ニットで需要を取り込む。織物がメイン分野であり、パイオニアになれるような素材・生地を作っていきたい」と強調した。