蝶理とエイキ ピン仮撚り機の新台稼働
2025年12月09日 (火曜日)
蝶理が糸加工のエイキ(石川県小松市)に導入したピン仮撚り機が、このほど稼働を始めた。投資額は約3億円。日本での生産スペース確保に向け、今後も蝶理が設備を購入して産地企業に貸与する形の投資を検討していく。
エイキの本社工場にAIKIリオテック製の量産機2台(1台=2ライン)と試験機1台を導入した。量産機の4ラインのうち3ラインが稼働済みで、残る1ラインも今月中旬に稼働する予定。古い機械を廃棄して新台に更新することで生産性の向上や効率化、省エネなどにつなげる。試験機の導入で、これまで量産機を止めて行っていた試作・開発も加速する。
エイキは東レと蝶理からの受託加工が柱。蝶理向けのピン仮撚り糸はこれまで月30~40㌧を生産していたが、今回の設備投資で月50㌧増える。蝶理によると日本のピン仮撚り糸の生産規模は月約千㌧で、うち約500㌧を蝶理が展開しており、100㌧弱をエイキで生産する形になると言う。
エイキは撚糸やピン仮撚り糸から始まり、一時期は高速タイプのフリクション式に置き換えたが、海外との差別化を視点に再びピン式の比率を高めている。北陸に5工場を持つが、うち本社工場、志賀工場(同志賀町)、福井工場(福井市)にピン仮撚り機を保有。現在はピン式の方が錘数が多くなっており、ピン仮撚り機は11台を持つ。
蝶理はピン仮撚り糸「SPX」の拡大に注力し、スポーツやユニフォームなどの用途で伸ばしている。今後は海外に伸び代があると見て、SPXの糸や生機での輸出にも力を入れる。
ピン仮撚り以外を含め、日本では老朽化した設備の更新がなかなか進まず、中長期では後継者不在の工場が廃業していくことも懸念されている。今回の蝶理の設備投資は、将来の生産スペース縮小に備える狙いもあり、今後も協力工場に貸与する形での設備投資を検討する。





