特集　スクールスポーツウエア（２）／スクールスポーツ事業インタビュー／26年入学商戦は

2025年12月09日 （火曜日）

〈菅公学生服 営業本部企画推進部 スポーツ企画推進課長 勝山 裕太 氏／カンコープレミアム堅調／二次加工の提案を強化〉

――来入学商戦に向けての進捗（しんちょく）は。

　計画通りに推移しています。スクールスポーツに限らず、会社全体で新規注文の締め切りを早めるなどルールを徹底させ、安定生産、納品に注力しています。

　安定供給しにくい素材を新素材や主力素材に置き換えるなどして、生地供給の安定化にもつなげることができました。

　ただ、染色工程の納期が不安定になっています。今は順調ですが、これから上がってくる生地に関しては不安感があります。

――各ブランドの販売状況について。

　主力ブランドの「カンコープレミアム」が引き続き好調です。防風、軽量、耐久性といった機能性を持つ生地「グランガード」の評価が高いほか、軽量性を維持しつつも肉厚で保温性の高い生地「モアヒート」使いの体育着も順調に採用が進みました。中学校をターゲットとした企画も堅調。同ブランドは来春に累計採用校数が650～680校ほどとなりそうです。

　ファイテンとのダブルネーム「カンコー×ファイテン」は、2～3年前から投入する植物由来のエコ素材「エコディアワープエアー」使いの体育着が新規獲得に貢献しています。

　スポーツバッグやゴルフバッグなどのＯＥＭを手掛けるＥＱ　ｊａｐａｎ（千葉県松戸市）が展開するスポーツブランド「ブルイク」とのコラボレーション体育着「カンコーブルイク」は今年で2年目となりますが、まだ認知度は高くありません。ブルイクのバッグを導入している学校をターゲットに提案を進めており、十数校の採用が決まりました。

　「リーボック」では、ウインドブレーカーのようなパーカを、制服の上から羽織れるというような提案を進めています。

――2026年7月期で強化する点は。

　二次加工の提案を強めます。手法としては二つあります。一つが協力業者と組んだフルカラーの転写マークの提案。マークは1色のシルクプリントが主流の中、細かいデザインのフルカラーのものを提案していきます。

　もう一つがワッペンです。アイロンが要らず、シール感覚で貼り付けることのできる扱いやすいワッペンを訴求していきます。

〈菅公学生服／スポーツ振興に取り組む／全中の運営支援など〉

　菅公学生服は、スポーツ振興に向けた取り組みを強めている。今年、公益財団法人日本中学校体育連盟（日本中体連、東京都新宿区）と、全国中学校体育大会（全中）運営に関する包括連携協定を締結。このほか、バスケットボールチームの取得やハンドボールチームの立ち上げなどの動きも進む。

　今年4月、日本中体連と包括連携協定を締結した。日本中体連が主催する全中は全国の中学生の競技力向上とともに、スポーツを通じた心身の成長の機会となる大会だ。近年は少子化の進行に加え、運営を担う教職員の負担増加など、持続的な大会運営が課題となっていた。

　協定締結によって、全中の持続可能な大会運営の実現を目指す。連携協力の内容は、大会開催計画や競技別運営の支援、自治体との連携、協賛の新規契約・継続契約、広報・啓発イベントに関することなどだ。

　同社は長年、日本中体連の特別賛助会員として協賛事業や大会運営支援に取り組んできた。このほど、専門のスポーツマネジメント事業部を新たに設置。今後は教育現場に関わってきた知見を生かし、スポーツを通じた全国の中学生の成長を後押しする。

　尾﨑茂社長は「地域の先生方のボランティアで成り立っている大会は持続可能ではない」と説明。「より良い運営ができるように、幅広く協賛も募りながら黒子となって運営していく。責任は重大だ」と語る。

　2026年度に4競技で試験的に運営に携わる。27年度に本格的な運営支援を予定する。

　スポーツ関連での動きでは昨年、岡山市、岡山県津山市を本拠地とするプロバスケットボールのＢ3リーグクラブチーム「トライフープ岡山」の運営会社の全株式を取得し、グループ企業とした。同社は同チームが15年に3人制チームを立ち上げた時から支援する。

　Ｂリーグは26年シーズンから再編される。Ｂ2に相当する「Ｂリーグ・ワン」への参入を目標に挑戦を継続。今年、入会審査で仮入会基準を充足していることが認められ、参入が決まった。

　女子ハンドボールチーム「デレフォーレ岡山」も立ち上げている。24年に運営会社を設立した。21年に開かれた東京2020オリンピック競技大会で日本代表として出場した角南果帆選手を軸にチーム作りを行い、今年から本格始動する。国内最高峰のハンドボールリーグ、リーグＨに27―28シーズンからの参入を目指している。