特集 スクールスポーツウエア(6)/中村被服/ミツボシコーポレーション/学生服メーカー/ユナイテッドアローズ

2025年12月09日 (火曜日)

〈中村被服/販路拡大を強化/新型体操服も投入〉

 幼稚園・保育園向けユニフォーム製造販売の中村被服(山口県防府市)は、ニーズを捉えた園児服や体育着の新製品を投入しながら、東日本エリアの販路拡大に力を入れている。

 新型体操服の「ライジングシャツ」と「BSパンツ」は、園児の活発な動きに対応する機能性と、保護者の洗濯負担を軽減するイージーケア性を両立させた商品だ。

 ライジングシャツは、動きのある斬新な切り替えしデザインが特徴。機能面では、汗を素早く吸収、拡散し、紫外線遮蔽(しゃへい)効果も持つ「DRY・UPF50+」の裏メッシュ素材を採用する。汚れが落ちやすく、再付着を防ぐ「ソイルリリース加工」も施した。

 BSパンツは、おむつやボクサーパンツの上からでもはけるゆとりを持たせた設計を採用する。素材には摩擦に強い丈夫なブリスター生地を使用する。両脇ポケットの内側は、砂がたまりにくいメッシュ生地となっている。

 同社は、園児服ブランド「キリンジ」を中心に展開しており、全国の幼稚園、保育園など約4千園に制服を納入している。西日本エリアでは直販、他地域は通信販売、または販売代理店に委託する体制をとる。新製品で訴求するほか、全国で縫製工場の廃業が増えていることを受け、園側からの直接の生産依頼も追い風となっている。

〈ミツボシコーポレーション/対応力で受注獲得/環境配慮型商材を充実〉

 服飾資材商社のミツボシコーポレーション(広島県福山市)はスクールスポーツ向けで、小ロットへの対応や、ニーズが高まりつつある環境配慮型商材などを取りそろえながら、学生服メーカーからの受注につなげている。

 スクールスポーツ向け事業は昨年、学生服メーカーの生産調整の影響を受けた。現在はその影響も緩和され、「そこまでの落ち込みはない」(合田雅弘岡山支店ディレクター)とする。

 岡山支店(岡山県倉敷市)は、学生服関連企業が集積する児島地域にあり、学生服関連の中ではスクールスポーツ向けの比率が高い。また、金沢工場(石川県かほく市)を持つことも同社の強みだ。

 同工場は同社のモノ作りを担うニットパーツ工場で、スポーツウエアやユニフォーム向けのラッセルテープ、ラッセルリブ、パイピングなどを生産。スクールスポーツ向けでも経編み、横編みのテープやパイピングなどの資材を生産する。

 近年、環境配慮型素材へのニーズも高まる中、再生ペット使いの商品など、ラインアップを充実させて提案している。夏の期間が長くなる中、猛暑対策に向けた動きもしていく考えだ。

〈学生服メーカー/夏の制服に変化/体育着との垣根低く〉

 近年の酷暑の影響で、夏の学生服に変化が見られるようになってきた。制服において、ポロシャツが着用されるほか、最近はハーフパンツを採用する学校も徐々に増えつつあるなど、「制服と体育着の垣根がなくなってきている」との声も聞かれる。

 トンボは先月開いた総合展で酷暑対策に向けた制服スタイルを訴求した。遮熱やUVカット、速乾性などを備えた機能性の高い夏向け商材をPR。ハーフパンツも展示した。

 菅公学生服はハーフパンツなど、体育着の素材を使った制服の展開を始めている。また、体育着の「リーボック」ブランドでは、ウインドパーカを制服の上から羽織れるといった使い方の提案も行う。

 体育着を制服の一アイテムとして提案することは明石スクールユニフォームカンパニーも行っている。シンプルで汎用(はんよう)性が高いデザインを取り入れた自社ブランドの「アスリッシュ」は制服との親和性も持たせており、オプションアイテムとしての採用が進んでいる。

〈ユナイテッドアローズ/小中学生に体操服支給〉

 ユナイテッドアローズは2026年度から、茨城県境町の町営小中学生に体操服を支給する。小学校5校と中学校2校の合計7校の約1800人に1人1セットを無償で配布する。境町の地域資源を同社の視点で全国に発信し、応援するため締結した包括連携協定の一環。

 境町の小中学校の体操服のデザインはこれまで、40年以上にわたりほぼ変わっていなかった。「昔からの古いデザインを変えたい」「卒業後も着用できるような、格好良くておしゃれなジャージーにしたい」という要望を受けて、ファッション性も重視した体操服にデザインした。

 「シンプル&洗練」をテーマに、各学校の校歌の一節やシンボルをモチーフにした共通のロゴ刺しゅうを入れた。体操服のまま外出できるように、シルエットやカラーは現代的に仕上げた。自転車で登校する生徒も多いことから、リフレクターを取り入れて視認性を高めるなど、機能性とファッション性を両立させた。

 広報によると、「境町の魅力を内外に伝えることで、訪問者や移住者の増加に寄与したい」とする。今後も、本取り組みの事例を生かして、さまざまな自治体とプロジェクトを進める計画だ。

 今回のプロジェクトのため、境町議会は、25年度一般会計当初予算案に約2600万円を盛り込んだ。