帝人フロンティア/「オクタ」好調続く/保温と通気を両立
2025年12月11日 (木曜日)
帝人フロンティアは、中空8フィン断面繊維「オクタ」の販売を拡大している。3~4年前から引き合いが増え続け、欧米からの“指名買い”が目立つなど、今期(2026年3月期)も好調を維持している。主力のフィラメントに加え、昨年から紡績糸や中わたの展開も本格化させ、用途と販路の拡大を狙う。
オクタは、中空糸の周囲に8本の突起を放射線状に配列した独自断面を持つ。この構造によって空間が生まれ、保温性や通気性、吸水速乾性、かさ高性など多彩な機能を発揮する。性能を最大限に引き出すためには、糸から生地に至る各工程で技術的なノウハウが欠かせず、特殊な構造体と組み合わせることで機能を一段と高めるなど、素材開発に力を入れている。
市場では「温かさは欲しいが、熱がこもるのは避けたい」というニーズが高まり、保温性と通気性の両立が求められている。こうした要望に対応するのが、オクタを用いた非起毛加工の立毛構造生地「サーモフライ」だ。糸の特徴を生かして“ふわふわ”とした肌触りを持たせながら、保温性を確保。通気性や吸水速乾も備え、「軽くて温かいのに蒸れにくい」快適な着心地を実現する。
バリエーションの拡充も進む。膨らみのあるソフトな風合いが特徴の紡績糸「オクタsf」は、ウール混を中心に他素材との混紡提案が広がる。中わたタイプの「オクタエア」は突起の間に生まれる隙間で保温性を確保しつつ、中空構造によって軽量化を両立。ダウンジャケットの吹き込み用中わたとしても使用でき、アウター用途への採用拡大を見込む。





