東レの中国事業/25年度通期、前年超え視野/繊維事業が好調けん引
2025年12月11日 (木曜日)
【上海支局】東レの中国事業の2025年度業績は、円換算ベースで前年実績を上回る見通しだ。中国経済は不動産不況や消費低迷により不透明感が漂うが、売上高の約7割を占める繊維事業が好調に推移し、化学品事業の苦戦をカバーしている。
上半期(4~9月)は売上高・事業利益とも前年同期並みとなった。中国市場で消費の二極化が進む中、「差別化戦略を徹底することで収益を確保している」(三木憲一郎・東麗〈中国〉投資董事長)と言う。
繊維事業の好調要因は大きく二つある。一つは長繊維生地メーカー、東麗酒伊織染〈南通〉(TSD)の中国内販の健闘だ。スポーツ・アウトドアの大手地場ブランドへの機能素材の拡販が奏功している。織物だけでなく、特殊な編み物の採用も広がっている。
もう一つは、スパンボンド不織布事業の改善だ。競争が激しいベビー用から高付加価値な女性用衛生用品へシフトするとともに、中国・韓国・インドネシアのグループ連携を強化。東麗高新聚化〈南通〉(TPN)と、東麗高新聚化〈佛山〉(TPF)の工場を一体運営し、下半期からはフル稼働状態にある。
これらを支えるのが「戦略的プライシング」だ。原料安の局面でも安易な値下げに応じず、データを用いて論理的に価値を説明する営業を徹底している。
下半期は、南通の繊維研究・技術開発拠点である東麗繊維研究所〈中国〉(TFRC)と、フィルム・水処理などを対象とする東麗先端材料研究開発〈中国〉(TARC)の連携を強化し、「技術融合による開発を加速させる」(三木董事長)。ナショナルスタッフの次世代リーダー育成にも引き続き力を入れる。





