信州大/サステの最新潮流に焦点/グローバルサミット開催
2025年12月16日 (火曜日)
信州大学繊維学部の産学連携拠点「Fii(ファイバーイノベーション・インキュベーター)」は12日、10月にポルトガルで開かれた国際会議「テキスタイルエクスチェンジカンファレンス2025」の参加報告をテーマに、グローバルサミットを開いた。元テキスタイルエクスチェンジ(TE)アンバサダーの稲垣貢哉信州大特任教授や参加企業が登壇し、サステイナビリティーの最新潮流や日本企業も世界の議論に加わる重要性を共有した。
同カンファレンスは、環境に配慮した繊維素材の普及を進める国際非営利団体、TEが主催する年次会議で、今回の参加者は1400人を超え、日本からは約30人が参加したと言う。
稲垣氏はTEの実績を「2002年の発足時に0・01%だったオーガニックコットンの市場シェアが、現在は『BCI』などを含むサステイナブルコットンのくくりで約30%に達している」と説明。同カンファレンスについて「世界中から人が集まるのは、そこでしか得られない価値があるからだ」とし、日本企業の積極的な参加を促した。
報告会では、同カンファレンスに初参加した小松マテーレや、2回目の参加でブースを初出展したスタイレム瀧定大阪(大阪市浪速区)、初参加でブースを出展した東レ、V&AJapan(大阪市西区)、タキヒヨーが成果を報告した。キーパーソンや他の参加企業との関係構築に加え、サステ分野の議論の方向性を現地で確認できた手応えを語った。
稲垣氏は「製品を売るだけでなく、自社がどのような考えや姿勢でモノ作りをしているのかを世界へ伝えてほしい」と呼び掛けた。
〈新認証基準「MMS」〉
TEは12日、新認証基準「マテリアルズ・マター・スタンダード」(MMS)の最終要件を発表した。MMSは、リサイクル基準の「GRS」「RCS」や、動物繊維の「RWS」「RMS」「RAS」を統合する新基準。土地や水、エネルギーの利用から、労働条件、動物福祉、化学物質や廃棄物の管理に至るまで、原料生産と一次加工に焦点を当てた要件を定めている。新基準は26年末に発効し、27年末に義務化を予定している。
報告会では、オーガニックコットンは対象外で、既存の「OCS」が存続する見通しが示された。従来のGRSは製品までの製造工程でも薬剤や環境、人権などの審査があったが、MMSでは原料生産の審査を厳格化する一方、製造工程の審査は簡素化される可能性があると説明があった。





