物語は糸から始まる 北陸ヤーンフェアレビュー 第8回/機械展の趣も濃くなる
2025年12月16日 (火曜日)
北陸ヤーンフェアは年々、繊維機械関連企業の出展が増加し続けており、繊維機械展としての色合いも濃くなっている。今回展も繊維機械関連企業の出展が約2割を占めた。
織機製造大手の津田駒工業は前回展同様、パーツ販売の部署が出展し、旧式を含めてサポート体制を訴求した。ウオータージェット織機(WJL)、エアジェット織機(AJL)に加え、今回はレピア織機用の部品も展示した。
炭素繊維用を除きレピア織機から撤退しているが、同社製レピア織機は国内で多く稼働することを踏まえ、詳しい担当者も常駐した。WJL、AJLの最新機種に搭載する部品も紹介した。旧機種に使える部品もあり、入れ替えで省エネやコスト削減、品質向上につながる点を説明した。
エディー(大阪府東大阪市)はベルギーのピカノールや、イタリアのLGLエレクトロニクス(LGL)の代理店。旧式機械でもLGL製フィーダーに入れ替えて品質向上や生産管理につなげる動きがあり、販売は好調。元々はワインダーで染めむらをなくすために始まったが、織機に広がり、編み機や細幅織機でもニーズが増える。伸縮糸使いの増加が背景の一つで、最新フィーダーによるテンションコントロールで品質を高める。
また、給糸量をデータ化できるため、生産管理のデジタル化に役立てる動きもある。そのほか、ピカノール製の最新レピア織機「ウルティマックス」もパネルで紹介した。
イテマウィービングジャパン(同茨木市)は産地企業との交流を狙いに継続出展する。北陸以外を含めて多くの産地から来場があったと言う。今回展で超広幅ガイドレス式レピア織機や新型タックイン装置など「ITMAアジア+CITME シンガポール」に出品した機種も紹介した。ガイドレス式は従来、360センチ幅までだったが、540センチ幅まで可能。繊細な糸を扱う織物で要望がある。
ストーブリ日本法人(大阪市淀川区)は準備機や電子ジャカードなどをパネルで紹介した。産地企業との交流に重点を置く一方、技術担当者も常駐し、技術サポート体制の訴求にも力を入れた。
準備機製造の藤堂製作所(京都市)は、ワープタイイングマシンの新タイプ「HLα300」シリーズを展示した。従来機をマイナーチェンジしたもので、使い勝手を向上した。ブースは北陸産地以外も含め織布工場や機料店の関係者が訪問するなど盛況で「新製品を使ってみたいとの話もあった」と言う。
糸加工機製造のAIKIリオテック(愛知県稲沢市)は毎回来場していたが、需要家が出展していることもあって初出展した。北陸産地向けはピン仮撚り機を中心に、この2年間販売増が続く。「円安による国内生産シフトもあり、更新需要は旺盛。今年も受注は堅調」とする。パネル展示のみだったが、初日は来場者が途切れないほど活況で、具体的な商談もあり、継続出展する意向を示す。
整経機製造のスズキワーパー(群馬県桐生市)も初出展。短尺整経機、部分整経機をパネルで紹介したが、北陸の機業場を中心に各産地企業から来場者があり、「予想外に多く、驚いた。次回は出展内容も吟味したい」と話す。資材系の北陸産地企業からは省力化や自動化など具体的な話があり、手応えを得た。





