特集 環境ビジネス(8)/各社が創る環境・サステの今/スタイレム瀧定大阪/泉工業/澤田

2025年12月16日 (火曜日)

〈ヘンプ原料の紙の器/農家支援にも寄与/スタイレム瀧定大阪〉

 スタイレム瀧定大阪(大阪市浪速区)はさまざまな切り口で環境配慮商材を開発、販売している。R&D部が展開する国産ヘンプ(大麻)を原料とする紙の器ブランド「asanoha」(アサノハ)もその一つだ。

 R&D部R&D室の弓削吉廣主任によれば、あることをきっかけにヘンプを探していた際、栃木県にヘンプ農家があることが分かった。

 古くから神社のしめ縄や横綱の化粧まわしに使われていることも知った。しかし、しめ縄の8割は原料を海外に頼っていた。国産のヘンプ農家が漸減しているためだ。この再興も狙って立ち上げたのがアサノハだ。

 オガラと呼ばれる茎の部分を使用する。当初は糸や生地にしたいと考えたが、生産できるところが見当たらない。オガラから紙は作れることが分かり、事業化を決めた。

 アサノハは木材パルプと麻パルプを原料とした植物由来100%の紙の器。「日本を感じる紙の器」をコンセプトに紙皿やちょこを展開している。

 高価格ながら、廃棄問題に敏感なホテルや飲食店で採用が進んでいる。屋外でのホテルウエディングの際の皿や、かき氷の皿など、プラスチック代替として使われる。アサノハなら生分解性があるため食品と一緒に廃棄できる。回収してトイレットペーパーなどに再生する取り組みも進めており、これまで約2年の間に累計500キロを回収した。

 公式オンラインショップのみで販売している。

〈リサイクル原料を拡充/生分解やバイオ由来も/泉工業〉

 ラメ糸製造卸の泉工業(京都府城陽市)は、ラメ糸の原料であるフィルムにリサイクル原料を使用したタイプのラインアップを拡充している。

 ラメ糸は金属蒸着したフィルムをスリットし、撚糸して製造するが、フィルムに環境配慮型素材を採用することで〝サステイナブルラメ糸〟を実現した。特に人気が高まっているのが再生ポリエステルフィルムを使ったタイプのラメ糸。スポーツのメガブランドに採用されるなど実績が上がる。国内の大手スポーツアパレルも採用に向けて動いていると言う。

 また、フィルムにセルロースフィルムを使った「エコラメ」もラインアップする。こちらは生分解性を確認している。

 そのほか、バイオ由来原料ナイロンフィルムを使ったラメ糸も用意し、リサイクル、生分解、バイオ由来いずれのサステニーズにも対応する商品構成を充実させた。

 国内市場向けだけでなく、欧州の高級ブランド向けテキスタイルを得意とする織布・編み立て企業に提案を進めており、ラメ糸使いでもサステを確保した商品企画が可能になることを打ち出す。

〈ニットも気候変動型へ/発想豊かに環境配慮/澤田〉

 ニット糸・ニット製品製造卸の澤田(大阪府泉大津市)は、地球温暖化に伴う気候変動に二つの観点から対応している。一つは持続可能な未来へつなげる取り組みで、二つ目は気候変動に適応する企画の充実が挙げられる。

 前者で代表的なのはリサイクルポリエステルを100%使用したリリヤン手芸糸「プニーエコ」。手芸業界では初の「エコマークアワード2023」優秀賞を獲得、「OEKO―TEX STANDARD100」も取得するなど、業界では早くから評価されている。手芸キットも用意し、大型手芸店や同社オンラインショップを中心に販売している。

 素材開発の試作や試験で生まれる残糸は「もったいない糸」として、一般消費者に販売中だ。最近では“ぬい服”(縫いぐるみに着せる服)を手作りして着替えさせるトレンドもあって、手芸糸の需要が拡大傾向にある。本社に隣接する実店舗「SAWADA MARCHE」ではコーナー展開するほど人気となった。

 後者は長引く晩夏に適応する擬麻加工糸の「ギマサワ」シリーズが好調。綿100%ながら麻のようにドライな風合いがある。和紙を撚りこんだ機能糸「カミファイン」は通気性、吸水速乾性、軽量性を併せ持つ。両素材共に家庭洗濯可能な手軽さが支持され、ロングセラーとなっている。

 同社は夏と冬の代表的な素材を混合した企画も充実させ、三季、二季化にも対応している。これまで別注のみで企画していたが、個性的な意匠力と意外性に富んだ風合いが評判となり、今年から見本帳も作成。本格的に提案している。