特集 環境ビジネス(10)/各社が創る環境・サステの今/カケン/YKK/ボーケン

2025年12月16日 (火曜日)

〈LCA関連サービス強化/環境製品宣言の検証機関に/カケン〉

 カケンテストセンター(カケン)は、ライフサイクルアセスメント(LCA)に関連するサービスを強化している。算定支援サービスに加え、SuMPO EPD(環境ラベルプログラム)登録の検証機関になった。今後はセミナーや情報発信などを通じ、LCAの重要性・必要性を伝えていく。

 LCAは、製品やサービスの原料調達から製造、輸送、使用、廃棄に至るライフサイクルにおける投入資源・エネルギー、排出物、地球への影響などを定量的に評価する方法。温室効果ガス(GHG)排出量や酸性化、資源消費など、さまざまな環境影響が評価できる。

 2023年4月に算定支援サービスを開始し、「この2年半で少しずつ浸透してきた」と話す。その中で今年6月にSuMPO EPD登録の検証機関となった。SuMPO(サステナブル経営推進機構)から国内初の検証機関に登録された。

 EPDは、LCA手法を用いて製品の環境情報を定量化し、その結果を第三者の専門家が検証する。

 これによって透明性と公平性が担保された情報開示が可能になる。気候変動を対象とするカーボンフットプリントに対し、EPDは気候変動を含めた複数の環境領域を対象とする。

 6月以降、問い合わせは増えているが、現状は建築や電子機器関連など繊維以外が中心になっている。欧米では公共調達などでEPD活用が進んでおり、セミナーなどを通じて「繊維業界でも認知を高めていくことができれば」とする。

〈エレメント修理普及図る/ファスナーの寿命伸ばす提案/YKK〉

 YKKは、ファスナーとそれを使った繊維製品の寿命の長期化を目指し、修理や交換を容易にしたファスナーの部品を「リペア対応シリーズ」として展開している。ファスナーと繊維製品の廃棄を減らすことにつながるため、環境保全の取り組みとしても、同シリーズの拡販に力を注いでいく。

 同シリーズはスライダー、ファスナーの上止、引手といった製品をそろえ、それぞれ特定の種類やサイズのファスナーと組み合わせて提案する。

 「ファスナーを修理して長持ちさせる」という発想を定着させるため、シリーズに加えた「ビスロン用リペア対応エレメント」は、ビスロンファスナーの5号サイズを対象とする。

 ファスナーのエレメント(務歯)が破損しても、従来のようにファスナー全体を交換せずに、破損した部分のみを交換できるようにした。破損したエレメント部分に絞って修理を可能にしたことで、修理に要する手間と時間を削減する。

 エレメントと共に専用工具も提案している。交換作業は簡便で、交換用の金属エレメントを歯抜けとなったファスナーテープにセットし、セットプレートをファスナーの溝に合わせた上で、専用プライヤーで挟み込む。

 熟練した技術も工場設備も必要とせず、短時間の手作業で修理が完了する簡易さも訴求する。アパレルブランドのリペアセンターや専業の修理業者などでも使いやすくすることで、ファスナーの修理の普及を促進していく。

〈資源循環促進に貢献/海洋生分解性試験も開始/ボーケン〉

 ボーケン品質評価機構(ボーケン)は、環境負荷低減に関連する試験だけでなく、設計認定制度の指定調査機関となるなど資源循環促進に貢献する活動領域を拡大している。

 「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」が規定するプラスチック使用製品設計指針に基づき、清涼飲料用ペットボトル、文具、家庭用化粧品容器、家庭用洗浄剤容器の設計認定基準が今年8月に発表された。製品の設計段階から資源循環を促進する仕様を普及させることを目的に、指針の基づく優れた設計を主務大臣が認定する制度だ。

 ボーケンはこの制度の指定調査機関となっている。設計認定のための必要書類の確認や主務大臣への申請フォローなどを行う。26年1月から始まる正式申請に向けて事前相談の受付も開始した。

 環境配慮素材の試験も拡充している。その一つが、このほど開始したプラスチックの海洋生分解性試験。国際標準規格「ISO19679」の基づく試験・評価方法で実施するもので、堆積物(海砂など)を含む海水界面の微生物による酸素存在下での生分解度を二酸化炭素発生量から測定する。

 ボーケンは日本バイオプラスチック協会(JBPA)の指定検査機関であり、この試験の結果によってJBPAの「海洋生分解性プラ」マークの取得も可能だ。

 また、ボーケンは繊維・皮革産業の有害化学物質排出ゼロを目指す非営利団体ZDHCの化学物質在庫表の第三者検証機関として、認定ソリューションプロバイダーの一つであるドイツのゴーブルーと業務提携している。ゴーブルーの化学物質管理プラットフォーム「BHive」を活用することによって、ZDHCの化学品投入管理やインチェック報告・検証の実施が可能となる。