特集 環境ビジネス(11)/テキスタイルサーキュラーネットワーク/社会実装に“仲間をつなぐ”

2025年12月16日 (火曜日)

 繊維製品のリユース・リサイクル促進と循環型ビジネスモデル構築に取り組む一般社団法人テキスタイルサーキュラーネットワーク(TC―Net)。繊維企業だけでなく物流企業や福祉法人、大学、自治体など繊維リサイクルの社会実装に向けて“仲間をつなぐ”役割を目指す。

〈自治体との連携を推進〉

 TC―Netには現在、大津毛織(大阪府泉大津市)、中古衣料品リユース・リサイクル事業を展開するファイバーシーディーエム(堺市)、帝人フロンティア、上田安子服飾専門学校、障害者作業施設を運営する社会福祉法人泉大津みなと会(泉大津市)、協同組合関西ファッション連合(KanFA)、クリーニングのフランス屋本部(大阪府岸和田市)、ディスプレー用品企画・制作のエー・ディー(東京都中央区)が参画する。

 主な活動として、自治体との連携による繊維製品のリユース・リサイクルを実現するシステム作りに取り組んでいる。2023年に東京都葛飾区、24年に埼玉県和光市、25年に東京都三鷹市と連携協定を締結した。

 それぞれ自治体の施設やイベント会場に使用済み衣料の回収ボックスを設置し回収した衣料をTC―Net会員企業がリユース・リサイクルする取り組みを進めている。25年には、東京都環境公社の「サーキュラー・エコノミーの実現に向けた社会実装化事業」にも採択された。

 また、民間企業とのタイアップでは、クリーニング業の武蔵屋(さいたま市)を通じた古着回収も始まった。こちらは埼玉県産業振興公社のサーキュラーエコノミー事業化支援補助金に採択された。

〈大学生も参画〉

 もう一つ力を入れているのが、大学など教育機関や学生との連携・交流だ。その一つとして、日本繊維機械学会の繊維リサイクル技術研究会を中心に12大学の研究者と学生約100人が結成したプロジェクト「エンウィクル」への支援がある。エンウィクルが実施する繊維のアップサイクルイベントで古着回収を共同実施した。

 また、個別の大学との取り組みとして、立命館大学の学生団体「リツクロ」の古着ワークショップを支援する。関西大学の古着回収も支援した。回収した古着の最終処理は、TC―Netを通じてファイバーシーディーエムが担う。

〈“福祉の力”活用〉

 TC―Netの特徴に、社会福祉法人が参加していることがある。廃棄衣料のリサイクルに不可欠な異物除去工程を障害者作業施設(就労継続支援B型事業所)で担う取り組みを進めている。

 TC―Netに参加する泉大津みなと会を中心に現在は年間約70トンの処理を実施。就労する障害者の平均収入は月額3万2812円となり、全国でも最高水準となるなど障害者の社会参画に向けた成果が上がりつつある。

 今後の拡大に向けて、南大阪地区の福祉施設・団体とのネットワーク構築にも取り組む。産官学に福祉を加えた“産官学福”連携も、繊維製品リユース・リサイクルの社会実装に向けた方法論として注目されている。

一般社団法人Textile Circular Network

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