LIVING-BIZ vol.125(3)/特集 寝具寝装モノ作り/シキボウ/リュクス/東レ/龍宮
2025年12月17日 (水曜日)
〈後加工生かした生地訴求/ソフト風合いやしわ加工/シキボウ 生活資材グループ〉
シキボウの生活資材グループは、強みの後加工を生かした寝具寝装用生地・製品を提案する。
同社が10月に開いた展示商談会では、ソフトな風合いが特徴の「クリーマ」シリーズ、しわ加工の「TTC ZW加工」、特定タンパク質低減加工「ケアウォールエージー」などが好評を得た。いずれも湖州敷島福紡織品(中国浙江省)を活用して後加工する。
クリーマは、ソフトな風合いを高めた「ネオクリーマ」「ネオクリーマプラス」を加えて拡充した。カバーやふとん“側”(中わたを入れる前の半製品)向けに提案する。TTC ZW加工は、ポリエステル×ポリエステル・綿の交織にしわ加工している。生地売りのほかに、同生地を側に、カポック30%・ポリエステル70%を中わたに使用した肌ふとんの製品対応も視野に入れる。ケアウォールエージーは、新たな「特定タンパク質低減加工SEKマーク」を取得し、アレルギーの原因物質と考えられている特定タンパク質の働きを繊維上で抑制する。
〈日中にグループ一貫体制/企画から製造、検品、物流まで/リュクス〉
寝装・インテリア企画製造のリュクス(大阪市西区)は、日本と中国に生産・物流拠点を持ち、企画から製造、検品、物流まで自社グループによる一貫体制を構築している。「日本でハンドリングしながら、ワンストップで対応できる」(金子忠正社長)点を強みにする。
同社は中国に合弁のグループ企業を持つ。中国ではマットレスや枕、クッション、ふとんカバー、敷パッド、キルトケット、毛布を製造。キルティングやボンディングしたラグも生産する。
合弁の寧波明輝寝具(浙江省)は2024年5月に同省内に移転した新工場が竣工(しゅんこう)し、ウレタン連続発泡機を従来の1台から2台体制にし、ウレタンカット機を15台、圧縮梱包機も10台に増やした。本縫いミシンは70台。年間生産能力は枕約600万個、マットレス約160万枚に上る。
国内にはふとんカバーなどを製造する縫製工場のリュクス工房(愛知県蒲郡市)、枕・クッション製造のピローテック(和歌山県紀美野町)がある。
日中に検品・物流機能もあり、中国側の出荷状況から国内の得意先まで一貫管理を実現している。
〈機能原綿など追求/構造改革で継続性担保/東レ〉
東レの短繊維事業部は、寝具用途で高機能原綿や環境対応素材を追求するほか、生産体制の再構築で持続可能な事業へつなげる。
高機能原綿は防ダニ機能を持つ「ダニゲル」など、環境対応素材は「&+」(アンドプラス)をはじめとしたリサイクルポリエステル繊維に力を入れる。
同社は、ポリステル短繊維を生産する世界(日本、韓国、インドネシア、マレーシア)4拠点の稼働率を高めるため生産体制の再構築を進めてきた。
国内では、寝具の中わた用途を含むポリエステル短繊維を生産する愛媛工場(愛知県松前町)の連続重合・直接紡糸(連重)設備を9月に停止。連重の一部をインドネシアに移管し、国内はバッチ式紡糸設備のみとなった。付加価値品の多品種小ロットに対応できるバッチ式紡糸に絞ることで、多様な需要にフレキシブルに応える。
中島健太郎短繊維事業部長は、国内の稼働率が向上したとするとともに、事業規模は縮小していないと強調。「今回の構造改革で事業の継続性を担保させていただいた」としている。
〈製織含め自社一貫生産/こだわりの寝具提供/龍宮〉
寝具製造卸の龍宮(福岡県うきは市)は、医療用純度のガーゼと脱脂綿使いの寝具「パシーマ」が主力で、製綿から製織、染色、縫製まで自社一貫生産する。
2000年から自社で製織するようになり、段階的に織機台数を増やしてきた。昨春、豊田自動織機のエアジェット織機を2台増設し、16台体制にした。生産能力を高めるとともに、省エネルギータイプの導入で環境対応を進める。
21年5月には新工場(同)を稼働させ、本社工場から新工場にキルティングや裁断、縫製、検品工程を移して拡充した。23年3月には新キルティング機も導入。これまで業者に依頼していたキルティングの柄を機器上で簡単に設計できるようになった。
製綿ラインも増強し、今年3月に完了。生産が追い付かず欠品が続いた時期のあったパシーマの販売数量をこれまでの年間10万枚程度から、15万枚に対応できる生産ラインを整えた。梯恒三社長は「26年はスムーズな生産ができるように人員の確保と教育、訓練を積み重ねたい」としている。





