シキボウ 小回り生かす“仕組み”提案
2025年12月18日 (木曜日)
シキボウの原糸販売は、国内で開発した差別化糸を海外拠点で量産する“仕組みの提案”を加速している。ASEAN地域で原糸の現地調達ニーズが高まる中、国内の試作機能と、海外での量産体制を組み合わせた「小回りの利く対応力」(吉原朋宏グローバル事業推進室長兼繊維営業部長)で受注拡大を目指す。
海外戦略の中核となるベトナムでは、販売子会社のシキボウベトナムを起点に、仕入れ先の拡充を進めている。来年1月のユニチカトレーディング(UTC)との統合を機に、シキボウが拠点を持つホーチミンを中心とした南部エリアに加え、UTCの拠点があるハノイなど北部での新規顧客の開拓を本格化させる。現地ニッターに小割りした糸を提供し、迅速な試作をサポートするなど、きめ細やかな対応で市場への浸透を図る。
インドネシアの紡織・加工子会社メルテックスには、特殊紡績法による毛羽コントロール糸「ふわポップ」の生産設備を新規導入し、差別化糸への生産対応力を一段と高めた。
国内では、小回りの利く生産体制を一層強化する。富山工場(富山市)は生成りの細番手の別注を主力とし、グループの新内外綿(大阪市中央区)は太番手から中番手を中心に、杢(もく)糸や生成り糸の生産を担う。
特に新内外綿では、「オーダーメードの糸を作りたい」という顧客ニーズに応えた結果、別注比率が5割を超え、売り上げも好調に推移している。1日の生産切り替え数が多い多品種小ロット体制を、製販の綿密な連携が支える。営業と工場の生産担当が互いの拠点を頻繁に訪問し、対面で会議を重ねることで、生産効率の向上につなげている。
備蓄糸の販売も強化し、今後はブック展開する品種を300種から200種に絞り込み、新たに20種の新規糸を投入する。売れ筋への集約と新提案を両立させ、販路拡大を狙う。





