繊維ニュース

きいボード/堂々たる詰め襟

2025年12月18日 (木曜日)

 【東京本社】仰ぎ見るほどの巨躯(きょく)である。先週、東京ビッグサイトで開かれた展示会「エコプロ2025」に出展した菅公学生服のブースで異彩を放っていたのは、高さ5メートルにおよぶ巨大な詰め襟学生服だ。威風堂々たる「黒」と、輝く金ボタンが印象的だが、その出自を聞いて驚いた。実はこれ、廃棄予定だったチェック柄のスカート生地を黒く染め直し、つなぎ合わせたものだという。少子化やジェンダーレス化で制服の形は変わりゆく。それでも余った生地を捨てずに生かす「もったいない」の精神は、教育の場にこそふさわしい。巨大な背中は、変わりゆく時代の中で、変わらぬ服作りの矜持(きょうじ)を静かに語っているようだった。(日)