東麗酒伊織染〈南通〉/地場スポーツ向け好調維持/輸出減速も内販が下支え
2025年12月19日 (金曜日)
【上海支局】東レの中国法人で、長繊維生地を製造販売する東麗酒伊織染〈南通〉(TSD)の2025年度上期(4~9月)業績は、前年同期並みだった。輸出は一部で減速したものの、中国内販が堅調に推移し、全体を下支えした。通期は24年度に続き、過去最高の売上高を更新する公算が大きい。
中国内販では、地場のスポーツ・アウトドアブランド向けが引き続き好調だ。機能素材の開発提案が評価され、織物に加えて特殊な編み物の採用も広がっている。防水透湿素材「ダーミザクス」は認知度が高まり、通期の販売数量が前年度比約1・5倍に拡大する見通し。同素材は従来、登山やトレイルランニング用途が中心だったが、タウンユースやランニング用途など、採用分野の裾野が広がっている。
欧米向け輸出では、米国向けが相互関税の影響を受けて一時的に数量調整を強いられたが、開発段階から顧客に深く関与する取り組みを拡大することで影響を吸収。足元では落ち着きを取り戻している。欧米向けを中心にリサイクル素材の需要は堅調で、パートナー企業との連携によるナイロンの繊維to繊維のケミカルリサイクル事業を、来年以降本格展開していく。
産業資材分野では、エアバッグ用途が日系自動車メーカー向けで苦戦したが、地場の電気自動車(EV)メーカー向けの採用拡大でカバーし、全体では前年同期並み水準を維持した。内装材用途の「ウルトラスエード」は依然として厳しいが、自動車・非自動車の両分野で用途拡大を図り、挽回を目指す。
下期は内販の継続的な堅調に加え、輸出の回復も見込む。生産性向上と品質ロス削減を重点課題とし、差別化素材の安定供給体制を一段と強化する方針だ。





