東レ 繊維製品を半導体分野に
2025年12月22日 (月曜日)
東レは、成長が見込まれる半導体分野で繊維製品の販売拡大を図る。製造工程・装置の需要を取り込んでおり、ワイピングクロス「トレシー」や人工皮革「エクセーヌ」などで採用事例が増えている。「価格よりも機能が求められる分野」とし、自社の製品力が生かせる余地が大きいとみる。
トレシーは、超極細繊維からなる高性能ワイピングクロスで、高い拭き取り性能などが特徴。約40年の歴史を持ち、眼鏡拭きなどの一般用途で知られているが、工業用途も大きな固まりになっている。工業用途の中でも販売拡大を狙いたいとしているのが、半導体の製造工程・装置分野だ。
露光装置用レンズの拭き取りのほか、はんだボール印刷用メタルマスクの裏面清掃で注目度が高まっているという。ワイピング工程の自動化に対応が可能なロールタイプ、シート状のクロスタイプ、手袋(グローブ)タイプなどをラインアップしている。
エクセーヌは、ゴムやフェルト、発泡体などでは得られない機能性、厚みラインアップといった特徴を持つ。半導体関連では研磨パッドの基材(基布)などで採用が進む。加工性や復元性、吸水・吸油性、ワイピング性などの機能を持ち、機能の複合で用途開拓を目指す。備蓄品は、小ロット(30㍍)にも応じる。
グループの東レコーテックスは、基板用精密研磨パッドを展開する。シリコンウエハーの表面を研磨するスエード、液晶ガラス研磨用途のウレタンパッドに加え、約2年前に含浸不織布も投入した。不織布のベース素材や含浸する剤は顧客の要望に応じてカスタマイズ対応する。
半導体分野では、超純水が使用されるため、高除去逆浸透(RO)膜も評価を集めている。低圧・中性分子高除去膜「TBW―XHR」シリーズは、二酸化ケイ素除去率99・9%、ホウ素除去率92%を誇り、下廃水再生水や海水からの超純水製造が可能なほか、薬品費の低減も期待できる。
同社は価値に見合う値付けの徹底(戦略的プライシング)を実施しており、価格よりも高い性能や機能が求められる半導体分野とは相性が良いと言える。繊維や樹脂をはじめとする素材のほか、装置と分析サービスの三位一体で提供し、同分野で成長を図る。





