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繊維関連企業 成長する半導体市場に商機を

2025年12月23日 (火曜日)

 拡大が見込まれている半導体市場に繊維関連企業が目を向けている。同市場では高い機能・性能が求められ、自社の素材や製品が活躍する場があるとみる。各社は製造工程・装置分野を中心に提案の強化や可能性の模索を進めており、関連する展示会でもそうした企業の姿があった。

 このほど東京都内で開催された「セミコンジャパン2025」。半導体製造装置・材料の展示会で、各種装置・部品、材料、通信ソフトウエア、製造ソフトウエアなどが会場に並んだ。繊維関連企業は、出展者数は少なかったものの、東洋紡や三井化学、東レなどの名前が見え、それぞれが製品や機能を打ち出した。

 東洋紡グループの東洋紡エムシーは、ポリフェニレンエーテル(PPE)繊維を開発品として紹介した。PPEは、耐熱性、難燃性、耐薬品性、電気特性(絶縁性)などを持つエンジニアリングプラスチック。同社によると、溶融紡糸法を用いたPPE単体の繊維化に世界で初めて成功した。

 長繊維や紡績糸など、幅広い打ち出しができる。展示会では単糸繊度が1・6デシテックスや33デシテックスの糸などを見せた。ガラスクロス代替などを模索するほか、炭素繊維などと組み合わせたコンポジット、組みひもなどで今後の可能性を探っていく。

 三井化学と旭化成の合弁会社、エム・エーライフマテリアルズは、極細繊維を使ったメルトブロー不織布(MB)「シンテックスnano」を、CMPスラリー(高精度ろ過向け)などに訴求した。ポリプロピレンやナイロンなど用途に合わせた製品の提案ができる。

 親水性を持つナイロンを使ったMBフィルターはプレウエットが不要で、「一工程なくすことができる。使用者にとってはメリットの一つになる」とした。また、紙おむつで培った技術を生かし、広幅の生産ができるのも特徴で、40¥文字(U+3305)のフィルターに対応できる不織布が生産可能だ。

 東レは、製造工程で使用される素材と装置、分析サービスを三位一体で提供することで半導体分野のイノベーション創出に貢献する。繊維製品では、ワイピングクロス「トレシー」や人工皮革「エクセーヌ」などを展示し、拭き取りや研磨関連の需要を取りにいった。

 繊維製フィルター、ロッドなど特殊加工品を製造するアサヒ繊維工業(愛知県稲沢市)は、繊維同士を熱融着させたファイバーロッド、ポリオレフィン系やポリエステル系の熱接着繊維を使ったフィルターなどを並べた。「当社の特徴を知ってもらうことが第一」とした。