ユニフォームソムリエの今 第3回/イシトコテキスタイル 開発本部新規事業開発・企画開発・販売推進室 梅川 楓氏

2025年12月24日 (水曜日)

学生服の魅力発信したい

 確かな知識で業界を支えるユニフォームソムリエを紹介する連載の第3回では、学生服向け生地販売のイシトコテキスタイル(大阪市中央区)で、企画開発を担う梅川楓氏の“今”を追う。「提案した素材が学校単位で何十年と生徒に着続けてもらえる仕事にやりがいを感じる」と言う梅川氏の日々の業務には、ソムリエで得た知識が生きている。

  ――ユニフォームソムリエを受けたきっかけは。

 社長の勧めで受けました。学生時代は繊維に関して学ぶ機会がなかったので、検定をきっかけに学びたいという思いがありました。検定には講習も含まれており、試験というよりは学びの場になったと感じています。

  ――現在の業務内容は。

 当社は、シキボウとトーア紡コーポレーションの特約店です。当社が扱うシャツ生地「トレオンブロード」は、セラミック微粒子を含んだ特殊なポリエステル混紡糸を使った透け防止機能が特徴です。色展開が豊富で、後加工で機能を付与する別注にも対応しています。

 私自身は年間、実績生地を含めると30種以上の生地を開発しています。顧客から要望のあった生地の検索や生地提案時の販促物の作成なども担います。営業担当者に同行して、大手学生服メーカーが本社を置く岡山県に出張することもあります。

 業務上で特に難しいのは、生地の色目です。「学生服業界の紺は、500色ある」と言っても過言ではなく、それぐらい学生服の生地は奥が深いです。

  ――ソムリエ検定で得た知識はどのように生かされていますか。

 生地の機能性だけではなく、縫製のしやすさといったさまざまな側面から生地の良し悪しを判断できるようになりました。例えば、ニット(編み地)は組織構造による伸縮性が利点の一つですが、伸び過ぎると縫製時の生産性が下がるという欠点にもなります。生地が問題なく縫えるかどうかの可縫製試験に合格できなければ、どんなに利点があろうとも採用することはできません。

 学生服の生地は、3年間毎日着用できる耐久性と物性を備えています。価格だけでは判断できない魅力の一つといえるのではないでしょうか。いつか、日々の業務を通じて学生服の魅力を消費者に発信できるようになりたいと思います。