帝人商事〈上海〉/地場スポーツ向けを拡大/フィルター用素材も伸ばす
2025年12月25日 (木曜日)
【上海支局】帝人フロンティアの中国法人、帝人商事〈上海〉は2025年、地場スポーツブランド向けの製品OEM/ODMや、フィルター用途などの環境資材が健闘した。ただ、地場スポーツ向けや日本の大手SPA向け生地販売が絶好調だった前年の反動で、25年通期業績は前期比で微減収・微減益となる見通しだ。
衣料事業の柱の一つである地場スポーツ向けOEM/ODMは、「主要顧客である大手スポーツ・アウトドアブランド向けが引き続き好調に推移した」(小笠原重典董事長)。縫製だけでなく、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)繊維「ソロテックス」や、中空異型断面ポリエステル繊維「オクタ」といった日本独自の高機能素材と、コスト競争力のある中国素材を組み合わせた提案が奏功している。素材の産地別比率は、日本3割、中国7割となった。
現地で糸から一貫管理する取り組みも拡大した。新たに開発したポリエステル100%のモール糸使いの素材は、保温性を出すための起毛工程が不要で環境に優しく、「独特の形状や風合いが評価され採用が進んでいる」と小笠原董事長は述べる。
産業資材事業では、環境資材が拡大した。グループのタイ拠点でポリエステル短繊維のショートカットファイバー(短カットわた)の生産能力を増強したことを生かし、中国国内でのエアフィルター需要などを取り込み、販売を大幅に伸ばした。
自動車資材では、日系メーカー向けのカーシート素材(編み物・織物)の落ち込みを、合成皮革の採用拡大でカバーしている。地場の電気自動車(EV)メーカーの開拓にも注力しており、数年前から進めてきた種まきが実り、受注が決まり始めた。
26年もマクロ環境の不透明感が続くとみられるが、独自の開発力と提案力を武器に、さらなる差別化を進める。





