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新バイオリアクター技術開発/東レ

2025年12月26日 (金曜日)

 東レは、微生物固定型バイオリアクター技術を開発した。同社の試算では、従来法と比べてエネルギー消費を80~90%削減できる。社内外の生産現場での技術検証と運用設計を進め、省エネルギー化に貢献する新ソリューションとして導入を目指す。

 同技術は、特定の微生物を木質担体に固定化させ、リアクター内に充填した構造を持つ。変化させたい化学物質を含む水溶液をリアクターに連続的に接触させることで微生物が保有する酵素が作用して、対象物質を効率的に目的物質へ変換する。

 アクリロニトリル(AN)をモデルとした社内実証試験では、ANの99・5%以上が変換した。変換後の生成物はアクリル酸、プロピオン酸、酢酸などの有機酸で、活性汚泥処理を組み合わせることで二酸化炭素まで完全に分解が可能と言う。

 対象物が揮発性の場合に特に効果を発揮し、空気拡散によるロス低減と安全性に寄与。木質担体に固定化する微生物やリアクター構造をカスタマイズすることで、さまざまな化学物質に対して応用できる。