伊藤忠繊維貿易〈中国〉/国内外スポーツ向け拡大/25年上期は増収増益
2025年12月26日 (金曜日)
【上海支局】伊藤忠商事の中国法人、伊藤忠繊維貿易〈中国〉(ITS)の2025年度上半期(4~9月)業績は、前年同期比で増収増益だった。不動産不況や消費低迷などマクロ環境は厳しいが、成長を続ける国内外のスポーツ・アウトドアの有力ブランドとの取り組みを深耕する戦略が奏功した。通期でも前年実績を上回る業績を確保する見通しだ。
中国内販では、安踏(アンタ)グループとの取引が引き続き拡大した。「デサント」や「コーロンスポーツ」向けが成長ドライバーとなり、業績全体をけん引した。主力の製品OEMに加え、「生地一貫のビジネスを強化しているところだ」と、溝内剛士董事長は話す。
新規開拓では、地場の高級アウトドアブランドへのアプローチを強めている。同ブランドの機能性への高い要求に対し、高機能素材を供給することで信頼を勝ち得ている。
グローバルブランド向けでは、ドイツの大手スポーツブランドとの取り組みを拡大した。顧客のニーズを具現化する素材提案力が評価されている。シューズやラケット競技に強みを持つ欧米スポーツブランドについても、アパレルラインの企画・生産に深く入り込んでいる。
一方、欧米ブランドからの「脱中国」生産への要望に対応するため、ベトナムなど東南アジアの協力工場を活用した生産体制を強化している。
ブランド事業は、「グラミチ」などのセレクトショップへの卸売りが堅調に推移する。今後は同ブランドの小売り強化も視野に入れ、成長を加速させる。
26年は、既存の国内外スポーツブランド向けに注力しながら、ブランド事業の拡大や川下領域への出資も検討し、新たな収益の柱の構築を目指す。





