繊維ニュース

跳ねる連携/アメ横商店街連合会/日本紡績協会

2026年01月05日 (月曜日)

〈アメ横商店街連合会/国際的に強い関心/アメカジの聖地に訪日客〉

 カオスと個性が同居する日本有数の巨大商店街「アメ横」。都内のJR上野駅と御徒町駅の間に位置する約500メートルの中に、約400店舗余りが軒を連ねる。戦後から駅周辺の再開発が手付かずで、ユニークで活気のある専門店が今も営業を続ける。商店街の個性が際立つが、実は経営者や店舗の強い連携が集客につながっている。

 多くの店舗が加盟するアメ横商店街連合会(東京都台東区)の千葉速人副会長は、「アメ横の名称は上野側で飴(あめ)屋(飴屋横丁)が多く、御徒町側で米国の舶来品を扱う店舗(アメリカ横丁)があった」と説明する。略称としてアメ横が定着した。

 年末年始の5日間で約200万人を集客するなど歳末のイメージが強いアメ横だが、近年は平日の午前中からインバウンド客が訪れ、質の高い衣料品や服飾雑貨、宝飾品、高級腕時計、スニーカーなどを買い求め、さらに飲食も楽しんでいる。また、SNSを観た日本の若年層も「ディープな商店街を楽しみたい」として物販や飲食店を回遊。インバウンド客と国内の若年層が飛躍的に増え、千葉氏は「密集性や雑多な雰囲気がアメ横の強み。電子商取引(EC)にはない独自の回遊体験ができる」と説明する。

 多言語対応のウェブサイトを開設し、多言語マップも設置、キャッシュレス決済の対応も早かった。さらに、同連合会の有志で自主的な防犯パトロールを実施。昼夜を問わず定期的に見回りを行っている。

 近年のアメカジブームを受け、老舗のアメカジショップには、国内外からファンが訪れている。創業から70年を超える「ヒノヤ」や、多品種の米国製アウターとボトムスをそろえる「ジャラーナ」、日米の人気カジュアルブランドを展開する「アメリカ屋」など、同じアメカジ系でも品ぞろえで得意分野がある。

 中でもアメ横で40年、スカジャンや和柄のアイテムを提案する「フィッツマーケット」は、売り上げが伸長。同社の高山政弘社長は「既にフライトジャケットやスカジャンは品薄状態で、一部では追加を掛けたアウター、ジーンズもある」。

 けん引するのは国産の「児島ジーンズ」をはじめ、スカジャンの「花旅楽団」、米ブランド「アヴィレックス」「バンソン」なども年間を通して売れる。リピーターになる訪日外国人客もいる。

 千葉氏は「アメ横を回遊する人の約7割が外国人という印象。直近では東南アジア、中東からの訪日客が格段に増えた」。常連客や国内外の観光客、若年層を取り込むアメ横。多様でディープな巨大商店街は、国際的な関心を集めている。

〈日本紡績協会/全短協/企業の枠越え次世代育成/国内紡績を未来へつなぐ〉

 日本紡績協会と、その関連団体で主に中小紡績で構成する全日本短繊維紡績協同組合(全短協)は、若手人材の育成を目的とした「人財セミナー」を共催している。現場の高齢化や技能継承の難しさといった国内紡績業の課題に対し、企業の枠を越えて学び合い、業界全体で次世代を育てる場として、2017年に始まった。9回目を迎えた今年は、綿・合繊紡績の9社が参加。5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)を軸に、改善の考え方と実践力を養う機会として定着している。

 同セミナーの原点は、10年ごろに中小の綿紡績と合繊紡績がそれぞれ実施していた工場見学会にある。「他社の工場から学び、横のつながりをさらに深めたい」との思いから、全短協の木村嘉宏氏が発起人となり、両団体が連携して17年に本格始動した。新型コロナウイルス禍ではオンライン開催となり、一時は存続も危ぶまれたが、22年に長谷虎紡績(岐阜県羽島市)の長谷享治社長が会場提供を申し出て再開した。

 参加者層にも変化が表れた。開始当初は管理職の比率が高く、平均年齢は50歳前後だったが、23年以降は現場の実務担当者や若手、女性の参加が増え、平均30歳まで若返った。

 大垣扶桑紡績(岐阜県大垣市)は、技術・製造部門長、生産部長と若手の生産実務者2人の計4人で参加し、役職の垣根を越えて意見を交わした。決裁権を持つ上司が同席することで、学んだ内容を「明日から実践しよう」とその場で決められる「意思決定の速さ」に手応えを感じた。

 今年は全3回のプログラムで実施された。7月の座学に続き、9月は農業機械大手クボタの堺製造所(堺市)の工場を見学。11月はカワボウ繊維(岐阜市)の武芸川工場(岐阜県関市)を訪問し、同社が約半年かけて進めた5Sの成果を、工場見学を通じて共有した。

 カワボウ繊維は、23年3月に紡績事業を撤退した豊島紡績(名古屋市中区)の設備と従業員を引き継いだ経緯を踏まえ、同社出身者と豊島紡績出身者から各1人を5S活動のリーダーに選出し、共同で改善を推進した。出身の異なる社員が同じ目標へ向かって動くことで、「普段以上の会話が生まれ、社内の一体感向上にもつながった」と言う。

 日本紡績協会の上原千明専務理事は「他社の工場を見て切磋琢磨し、会社同士がつながることに意義がある」と、継続の必要性を強調する。木村氏も「繊維業界を目指す人を増やしていきたい」と話す。企業の枠を越えた学びが、未来への基盤を築いていく。