検査機関 個性生かして業績拡大に挑戦/カケン/ボーケン/QTEC/ニッセンケン/ケケン

2026年01月05日 (月曜日)

 衣料品市場の低迷やコスト高、気候変動の影響など、検査機関を取り巻く環境は厳しい状況が続いている。業績は底堅さを維持するものの、各検査機関は将来に向けて従来の業務だけでなく、非繊維を含めた幅広い領域に目を向ける。競争が激しくなる中、それぞれの個性を生かし、業績拡大に挑戦する。

〈次のニーズにも目を/カケン〉

 カケンテストセンター(カケン)は、2026年度(27年3月期)が新中計の初年度になる。現中計で事業は着実に前進したと捉えている眞鍋隆理事長は、新中計についても「基本的な考えを変える必要はない」とし、試験・検査業務や人材に磨きをかけ、「顧客に寄り添う検査機関」に成長させる。

 現中計の最終となる26年3月期に向けて、デジタル技術で企業を変革するDXによる試験の高度化・効率化を進めると同時に、人材育成の強化にも力を入れる。コンサルティング事業も拡大する方針で、セミナーや展示会を通じて情報を積極発信する。

 中計の数値目標は、子会社のMTVカケンベトナムの立ち上げ効果などもあって、事業収入などは達成できる見通し。

 新事業では、昨年にサステナブル経営推進機構(SuMPO)からライフサイクルアセスメント(LCA)算定の検証機関として登録された。

 新中計についても基本的な考えに変更はない。現在存在しているニーズに加え、「顧客にとって次に何が必要になるかにも目を向けられるカケン」への成長を目指す。

〈製品まで一貫の試験体制/ボーケン〉

 ボーケン品質評価機構(ボーケン)は、機能性試験の拡充を進めている。2025年にはユニチカから試験事業子会社のユニチカガーメンテック(UTG、大阪府貝塚市)を買収し、ボーケンガーメンテック(BGT)として傘下に加えた。糸・生地から製品まで一貫の機能性試験体制が充実する。

 BGTは、サーマルマネキンなど特殊試験機器を保有し、製品使用時の人体生理計測や機能性評価に強みがある。UTG時代からボーケンは業務提携するなど協力関係にあり、気化冷却性や持続冷感性の試験・評価方法などの共同開発も進めてきた。

 BGTがボーケンの傘下に加わったことで、糸・生地を対象とした機能性試験に加えて、製品を対象とした機能性や快適性の試験まで一貫で実施できる体制が整った。例えば猛暑対策に焦点を当てた機能性試験・評価では製品企画・提案の際に客観的なエビデンスが一段と求められるようになった。これに対してサーモグラフィーによる温度変化の可視化などに加え、BGTのサーマルマネキンを使った衣服内やマネキン表面の温度変化などの評価データを提供することができる。

〈エンゲージメント高めて力を/QTEC〉

 日本繊維製品品質技術センター(QTEC)は、2025年度(26年3月期)に3カ年の中期経営計画を始動し、26年度は2年目に当たる。中経で掲げている二つのテーマの下、九つのタスクフォースを突き詰めていく。職員を「守る」ことにも目を向ける。

 中経は、「高度な試験技術に裏打ちされたQTECの確立」と「オールQTECで収益を伸ばす」の二つをテーマとする。このテーマの下に「試験技術精度維持・向上」や「営業力・総合力推進」といったタスクフォースがあり、ぶれることなく取り組む。

 初年度は、厳しい事業環境の中で、全体として計画通りの推移を見せている。上半期は、東京試験センターと北陸試験室、中国の南通試験センター、バングラデシュのダッカ試験センターが好調だった。海外では日系企業や日本人会などとのネットワークづくりも進んだ。

 山中毅理事長は「職員を大切にしていきたい」とし、カスタマーハラスメント方針をホームページに公開し、海外安全対策マニュアルも整備した。全職員のエンゲージメントを高め、QTECの付加価値を発揮する。

〈目標へ着実に前進する/ニッセンケン〉

 ニッセンケン品質評価センター(ニッセンケン)は、昨年6月に安藤健氏が理事長に就き、新体制で事業に当たっている。1948年設立の同財団にとって「100年企業」は目標の一つ。技術をとがらせることで差別化を図るなど、独自性で存在感を示し、目標へと前進する。

 ニッセンケンの独自性では「エコテックス」が代表の一つ。全アジア地域唯一のエコテックス認証機関として約25年にわたり事業に取り組んできた。

 その結果、有害化学物質分析に強いという評価を獲得している。今年は、遺伝子組み換え綿の含有の有無などが確認できる「エコテックス オーガニックコットン」の本格展開にも力を入れる。

 そのほか、20年近く対応している遠赤外線放射率測定は、リカバリーウエアの市場拡大によって注目度を高めるなど、ニッセンケンが強みを発揮できる場も多い。独自性や技術力を生かし、繊維以外の分野・領域にもビジネスを広げる。

 顧客や消費者とのコミュニケーション強化にも力を入れている。ホームページの充実のほか、昨年9月にはインスタグラムでの情報発信も始めている。

〈機能を提供し顧客支える/ケケン〉

 ケケン試験認証センター(ケケン)は、試験・検査業務に加え、各種の認証業務を強化している。エシカル(倫理的)な繊維製品を認証するテキスタイル・エクスチェンジ(TE)の認証件数は増加傾向にあり、2025年度は前年と比べて2・5倍を見込む。自社が持つ機能を提供し、繊維関連企業を支える。

 林克優理事長は、認証業務の将来的な目標として、売上高の30%を占めるまでに育てたいとの考えを示す。そのほか、人権などに関する監査の依頼も増えると予想する。

 メインである試験・検査業務については、対応可能な項目を毎年10個増やすという目標に継続して取り組んでおり、全体で成長を目指す。

 認証業務の中心となるTEは、動物福祉や人権、環境保全などに配慮しているエシカルな繊維製品を認証する制度だ。リサイクル基準に加えて、化学品規制や人権(従業員の労働体系)にも関連する「GRS」が増えてきた。

 昨年8月には、サステイナブルカシミヤの認証制度である「SFA」(サステイナブル・ファイバー・アライアンス)の国内唯一の認証機関に認定されている。