繊維ニュース

繊維5団体 転換期を“好機”に

2026年01月06日 (火曜日)

 日本紡績協会、日本化学繊維協会、日本綿花協会、日本繊維輸出組合、日本羊毛産業協会の繊維5団体は5日、大阪市内のホテルで恒例の新年名刺交換会を開催した。参加した繊維企業幹部たちからは現在の転換期を“好機”と捉え、繊維事業の追い風にしたいとの声が多く上がる。一方、緊張が高まる日中関係について注視すべきとの指摘も多い。

 冒頭、主催団体を代表してあいさつに立った日本紡績協会の有地邦彦会長(大和紡績会長)は、「昨年の“トランプ関税”が世界の需給構造に影響を与える中、繊維業界も環境規制の強化やサプライチェーンの再構築など変化の波に直面している、しかし、転換期は成長への“好機”でもある」と指摘。特に「環境配慮型商品やトレーサビリティーへの取り組みを広げていくことが繊維業界の今年の課題になる」と強調した。

 参加した繊維企業幹部からも前向きな発言が多い。東レの沓澤徹専務執行役員繊維事業本部長は「トランプ関税も“落としどころ”が見えたことで影響も落ち着いてくるだろう。自動車関連など昨年は低迷した産業資材分野の回復が期待できる」と話す。

 繊維業界も企業再編などが相次ぎ、転換点を迎えている。旭化成アドバンスとの経営統合を今年10月に控える帝人フロンティアの平田恭成社長は「経営統合に向けて今年やるべきことははっきりしている。まずは互いを良く知ることから始める」と話す。今年からユニチカトレーディングの衣料繊維事業を統合したシキボウの鈴木睦人社長も「今年は変革の年。軸足を固め、メーカーとしての価値を打ち出す」と強調する。

 経済情勢の変化も見逃せない。東洋紡の竹内郁夫社長は「為替と金利の動向は要注意。日本も“金利のある世界”に戻ったことで、経営戦略の前提が変わってくる」と指摘する。クラボウの藤田晴哉会長は「高付加価値品を適正価格で売り、消費者に普及させるための訴求方法や技術確立など、戦略的な仕掛けが必要」と強調し、クラレの坂本和繁常務執行役員繊維カンパニー長も「他社にない素材の拡販で存在価値を示すしかない」と、新たな経済構造に適応した戦略の重要性が一段と高まったことを指摘した。

 一方、緊張が高まる日中関係にも話題が及ぶ。帝人フロンティアの平田社長は「政治的対立が経済にこれ以上の悪影響を及ぼさないか注視する必要がある」と話す。東洋紡の竹内社長も「日中は相互協力体制となっている分野が多い。双方とも極端な考え方は避けるべき」と指摘。東レの沓澤専務執行役員は「中国も政治と経済を分けて考える傾向が強い」と、繊維業界として冷静に対応すべきとの意見が多かった。