特別インタビュー(後)/東レ 大矢 光雄 社長/成長戦略と構造改革の両輪/繊維は事業利益1千億円も

2026年01月06日 (火曜日)

――東レは、2026年度(27年3月期)から新中期経営課題を始動します。

 26年3月期で終了する現中経は、成長戦略と構造改革を同時に進めています。この形は次の中経でも大きく変わることはありません。ポイントの一つは、現中計で実施した5500億円弱の投資の成果刈り取りです。また、次のその次の中経での成長をにらんだ投資も出てくると考えています。

 炭素繊維や分離膜、水素関連をはじめとする成長領域をどれだけ拡大できるかになります。一方で、投下資本から見て十分に利益が上がっていない事業もあり、構造改革を拡大戦略と同じ熱量でやり切ります。それをやり切ると低成長・低収益事業をある程度奇麗にすることができます。

――繊維事業の成長と構造改革は。

 成長分野は、衣料品の一貫生産事業と人工皮革、エアバッグの三つです。設備投資を含めてしっかりと取り組んでいきます。構造改革では、収益改善プロジェクト「ダーウィンプロジェクト」(Dプロ)で一部残っているポリプロピレンスパンボンド不織布(PPSB)とポリエステル短繊維で取り組みを進めます。

 また、Dプロの対象に位置付けるかどうかは未定ですが、ポリエステル・綿混事業は改革が必要です。継続的に取り組んできましたが、根本的な改革が必要になっていると感じています。国内関係会社で低収益な部分のリエンジニアリングも次期中経の課題の一つだと考えています。

――PPSBは生産能力縮小もあるのですか。

 中国やインドを含めたアジアは人口が増加しており、大人用紙おむつを合わせて需要は増えています。問題は供給の過多にあります。その中で糸・わたがそうであったように、戦える領域や地域で勝負することになります。韓国の拠点を中心に古い設備を止めるケースもあります。

 苦戦していた中国も黒字が見えてくるなど、“ワンステップ”は今年で終えることができます。

 インドやインドネシアでどのような施策を進めるかが次のステップです。保有する設備でどれだけ付加価値の高い製品を創出できるかになり、増設やリエンジニアリングは議論の最中です。

――中期的な方向性は。

 次期中経は30年近傍に会社のありたい姿を見据え、その達成には足元にどのような課題があり、どのようにクリアするのかという視点で策定しています。売上収益1兆円を超えた繊維事業の次のターゲットは事業利益1千億円です。成長領域の拡大と構造改革によって30年近傍で達成する絵を描いています。