2026年新春インタビュー 中国事業の最前線【上】/東麗〈中国〉投資 三木憲一郎董事長

2026年01月07日 (水曜日)

グローバル戦略の試金石に

 マクロ環境が厳しい中、中国の大手日系企業がそれぞれの強みと明確な戦略で事業を拡大している。本連載では、各社トップに中国事業の現状と2026年の計画を聞く。第1回は、東麗〈中国〉投資の三木憲一郎董事長。

(上海支局)

  ――25年の中国経済と消費環境を振り返ると。

 マクロ環境は極めて厳しかったと言えます。不動産不況に加え、地方財政悪化が深刻化し、国が政策を打っても地方が実行できないカネ詰まりの状況でした。デフレ傾向が続き、自動車産業では販売台数が増えても売り上げが減る現象が起きています。

 消費マインドは二極化が鮮明です。若年層は、資産価値の下落や雇用不安から消費に慎重です。一方、富裕層は依然として購買力があります。広州などの屋内スキー場や東北地方のゲレンデには、高機能なウエアを身に着けた人々が殺到しています。

  ――25年度の業績総括と通期見通しは。

 上半期の売上高は約2700億円で、事業利益ともに前年同期並みでした。化学品や環境関連は苦戦しましたが、売上高の7割弱まで拡大した繊維事業が全体をけん引しました。

 通期は為替の影響などはありますが、円換算で前年実績超えを狙える位置にいます。トランプ関税の影響で上半期に一時的な買い控えや価格圧力がありましたが、それを乗り越えての成果です。

  ――好調な繊維事業の勝因は。

 一つは、スポーツ・アウトドアの地場大手ブランドの開拓です。「カイラス」をはじめ、台頭する地場の本格アウトドアブランドは本物の機能を求めています。防水透湿素材「ダーミザクス」は、地道なブランディングで高級・高機能素材として認知され、採用が増えました。

 もう一つは、スパンボンド不織布の回復です。中国・韓国・インドネシアの3カ国連携の確立と、当社の技術が生きる女性用衛生用品へのシフトにより、中国の2工場は下半期からフル稼働状態です。

  ――組織改革や人材育成にも注力されています。

 創出した価値を価格に適切に反映させ、安易に値下げしない「戦略的プライシング」の営業組織への浸透に力を入れています。次世代リーダーの育成では、日本人駐在員ではなく中国人経営層が講師となり、東レ流の経営について議論しています。

  ――26年の展望は。

 南通の繊維研究所(TFRC)と、上海でフィルムや水処理などを担う先端材料研究開発(TARC)の連携を深め、技術融合による開発を加速させます。

 また、東レが創業100周年を迎える今年は、輸入博などを通じプレゼンスを高めます。

 中国で勝てる商品はグローバルでも通用します。中国での成功を世界戦略の試金石と位置付け、さらなる成長を目指します。